コラム
» 2009年01月24日 18時00分 UPDATE

Mac誕生25周年:伝説のデビューから25年、初代Macを振り返る (1/2)

初代Macintoshがデビューしたのは、今から25年前の1984年1月24日。その四半世紀の歴史はけっして平坦なものではなかったが、とにかくここまでは来た。おめでとう、Mac。

[林信行,ITmedia]

25 years ago today――

og_25an_001.jpg Macintosh 128K

 Macintoshが世の中にデビューしたのは、今日(原稿執筆時)からちょうど25年前の1984年1月24日だ。アップルコンピュータ本社から車で5分のところにある、De Anza大学の「Flint Center for Performing Arts」でのことだった。

 ダブルのスーツに緑の蝶ネクタイの出で立ちで、舞台の上にスティーブ・ジョブズが現れる。そして彼は語り始めた。

 「今のところ、歴史に名を残すパソコンはたった2つしかない。1つは1977年に発表されたApple II、もう1つは1981年に発表されたIBM PC。今日、Lisaの登場から1年後、我々は歴史に名を残す3つ目の製品を発表することになる。Macintoshだ。我々はこの2年間、Macの開発に取り組んできた。その成果は――“メチャクチャすごい”(Insanely great)」ジョブズはこういってMacを発表した。

 当時、パソコンと言えば、IBM-PCのOSとして文字ベースで操作するMS-DOSがようやく定着してきたところだ。パソコンのディスプレイは、13インチほどの画面に今日の携帯電話ほどの(QVGAやHVGA)の解像度で表示を行うというもので、黒い背景の上に文字や米粒ほどの大きさのドットを座標を指定して配置し、描いていた。

 これに対して、Macではビットマップディスプレイという概念を導入し、9インチ(512×342ドット表示)の画面を自由自在に操って映像を描き出すことができた。

 ジョブズも、PowerPointのような「プレゼンテーションソフト」などというものがそもそもない時代に、「今、これから後ろの画面に映し出される映像は、すべてここにあるMacから映し出される映像だ」と断って、アニメーションを表示させている。それどころかMacは、音声合成機能を使って、声による自己紹介まで行っている。

400Kバイトフロッピーに収まっていたOS

 最初のMacの構成はこんな感じだ。CPUはモトローラ製の68000(8MHz)で0.7MIPS。ROMは64Kバイト、RAMは128Kバイト。画面は白黒2値(グレー階調は出せない)で512×342ドット表示。キーボードは黒電話を思わせるカールされた太いケーブルで本体に接続されており、「マウスの操作を広めたい」というジョブズの意思を象徴して、カーソル(矢印)キーやテンキーが取り払われていた。一方、マウスはDB-9という角形コネクタで接続されていた。それに加えて同じDB-9コネクタのシリアルポートが2つ用意されていた。

 アップルのもう1人の創業者でエンジニアのスティーブ・ウォズニアックが、アップルIIの拡張性を重視する中、スティーブ・ジョブズは「ポートなんてモデム用とプリンター用に合計2つあれば十分」と言ったという逸話があるが、ジョブズはMacでもこの姿勢を貫いた。

 HDDはまだ搭載しておらず、代わりに3.5インチ(400Kバイト)の片面倍密度フロッピーディスクを搭載していた。そう、驚くことに当時は、この容量わずか400Kバイトのフロッピーディスク1枚に、MacのOSと1つ2つのアプリケーションが入っていたのだ。

 ちなみに今日のMacでは、付属のテキストエディタ「テキストエディット」の容量だけでも22.1Mバイト、アイコンデータの容量だけでもフロッピーの半分を占める204Kバイトもある。

og_25an_003.jpg 初代Macの起動画面

 さて、初代Macの電源を入れると「ポーン」という音がして、起動し、画面の中央に「?」の描かれたフロッピーディスクの絵が現れる。ここでフロッピーを挿入すると、キコキコディスクを読み込む音がしてピカソ風のMacのアイコンの横に「Welcome to Macintosh.」と書かれた起動画面が表示され、しばらくするとFinderの画面が現れる。そしてアプリケーションを起動すると、そのアプリケーションの画面に切り替わる、という仕組みだ(当時のMacは、1度に1つのアプリケーションしか起動できないシングルタスクOSだった)。

 Mac本体にはワープロの「MacWrite」とお絵描きソフトの「MacPaint」という2つのアプリケーションが無償でついていた。当時のワープロといえば、数値を入力して、文字の太さや大きさを変えることができるといった程度。一方、Macでは文章の一部を選択して、自由自在にフォントの変更も可能で、しかも、変更後のフォントを画面ですぐに確認できた。画面で見たものと、印刷されたものがほぼ同じという「WYSIWYG」(What You See Is What You Get)を実現していたのであり、これは画期的だった。

 アップルはこの2500ドルのMacによって、ちょっとしたチラシ作りまでできてしまう未来のライフスタイルを家庭に持ち込もうとしていた。

初代MacとiPhone画面解像度はほぼ同じでも……

og_25an_004.jpg アルミユニボディの最新MacBook

 さて、この初代Macを今のアップル製品と比べてみるとちょっとおもしろい。Macといえばやはり一体型が主役だが、特に2001年以降は主役がiMacからノート型製品に移りつつある。それでいうと、今日のMacの顔は「MacBook」だろう。MacBookの1番下のモデルの価格は999ドルで、これは初代Macが最初に目指していた価格でもある(もっとも、当時と今では貨幣価値が違うが)。

 今日のMacBookのメインストリートモデルは、MacBookの2.0GHz。CPUはIntel Core 2 Duo(2.0GHz)だ。単純にクロック周波数でみて250倍だが、Intel Core 2 Duoが、1度に複数命令の実行が可能なうえに、CPUコアが2つあることを考えると、その差はさらに数倍も広がるだろう。

 メモリは2Gバイトで、これは1万6384倍。ディスク容量は160Gバイトで、42万倍。表示能力は13インチ1280×800ドットで、ドット数的には5.85倍だが、1つ1つのドットが白黒だけでなく、1680万色を表現できるようになっている。しかも、アニメーションなどの表示の滑らかさもけた違いだ。

og_25an_005.jpg iPhone 3G

 ちなみに、1984年当時の「アップル・コンピュータ」は、2007年には「アップル」に改名され、現在ではMac以上に、音楽プレーヤーの「iPod」や携帯電話の「iPhone」といった製品が重要になりつつあるが、このiPhoneと比較してみても、CPUはARM製の412MHzで動作クロックは51.5倍。iPhoneの16GバイトメモリをRAMとして比較すれば13万倍、ディスクとして比較すると4万倍。唯一、画面の解像度(ドット数)だけが初代Macの約9割と落ちているが、これも1ドットあたり26万色の表現ができることを考えれば、iPhoneに軍配があがるだろう。

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