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» 2014年10月16日 16時00分 UPDATE

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「Office Premium」の存在意義――搭載PCは本当にお得なの? (1/2)

日本市場に最適化した新しい個人向けOfficeの「Office Premium」。その搭載PCがいよいよ2014年10月17日に発売される。その背景と導入メリットを追っていこう。

[本田雅一,ITmedia]

プリインストールPCとクラウドサービスを組み合わせた新形態のOffice

 明日(2014年10月17日)、PCプリインストール用の新しいOfficeライセンス「Office Premium プラス Office 365 サービス」(以下、Office Premium)を搭載したPCが発売になる。米Microsoftの日本法人である日本マイクロソフトのアイデアで独自に商品企画され、国内市場のみで提供される個人向けのOfficeだ。

 すでに概要は発表されているのでご存じの方も多いだろう。「PCとともに永続的に使えるOffice」という従来のプリインストールソフトウェアのライセンス概念と、加入型サービスであり、関連するオンラインサービスとともに提供される現在のOffice(Office 365)、その両方の特徴を組み合わせたものだ。

 今回は発売を明日に控え、なぜOffice Premiumという特殊なライセンス形態が必要だったのか、どういった利点があるのかについて、少しばかり掘り下げておきたい。

tm_1410office_01.jpg 日本市場に最適化した個人向けの新しいMicrosoft Officeが「Office Premium」だ。製品単体では販売せず、サードパーティ各社のPCおよびSurface Pro 3に搭載して提供する。プリインストールPCには、右のロゴが付与される

Office Premiumプラス Office 365 サービスの概要

  • 提供形態
    • サードパーティ各社のPCおよびSurface Pro 3に搭載
  • 製品概要
    • 最新版OfficeデスクトップアプリケーションをPCへプリインストール
      • 購入したOffice Premium搭載PCを利用している間は、永続的に無償で最新版のOfficeにアップデート可能
      • 3つのエディションで提供(下表を参照)
    • Office 365サービス(1年間有効)
      • オンラインストレージOneDrive 1Tバイト
      • マルチデバイスでのOffice製品利用(iPhone、Android、iPad ※商用利用可能)
      • Skype月間60分無料通話(公衆回線向け)
      • 無償サポート「アンサーデスク」提供
    • 2年目以降「Office 365サービスOffice Premium 搭載パソコン専用」5800円(税抜参考価格)を購入することで、サービス部分の継続利用が可能
  • 販売
    • 全国のPC販売店、オンラインストアなど
  • Office Premiumが利用できるライセンス
    • 搭載PCにプリインストールされたデスクトップアプリケーション(永続ライセンス)
    • Office Mobile for iPhone/Office Mobile for Androidは台数無制限(1年ライセンス)
    • 2台までのiPadでOffice for iPadの利用が可能(1年ライセンス)

Office Premiumで提供する3つのエディションと利用できるデスクトップアプリケーション
エディション Word 2013 Excel 2013 Outlook 2013 PowerPoint 2013 OneNote 2013 Access 2013 Publisher 2013
Office Personal Premium
Office Home & Business Premium
Office Professional Premium

これからのOfficeとこれまでのOffice

 Microsoftは「デバイス&サービス」の会社を目指すとして、ソフトウェア製品の買い切りパッケージから加入型サービスへの切り替えを進め、ユーザーもこれを受け入れている。加入型サービスとしてのOfficeが「Office 365」と呼ばれるものだが、この利用者は四半期ごと100万人ずつ増えているのが現状という。

 買い切りパッケージから加入型サービスになることで、Officeとともに使うサービス(用途ごとに提供されるサービス内容も異なる)が提供されることに加えて、アプリケーションソフトとしてのOfficeを、契約期間中は自由に使う権利が与えられる。この際、バージョン番号や利用する端末の種類は問われない。

 つまり、MacでもWindowsでも、そしてiPad、iPhone、Android端末でも、目の前にコンピュータスクリーンがあるならば、そこでOfficeが利用可能になるのだ。このところMicrosoftがモバイル端末向けのOfficeを整備してきたのは、端末にインストールするソフトウェア単位で販売、ライセンスしていたのでは、複数端末を使い分けるモバイルの時代にそぐわないからに他ならない。

 ところが、米国でリリースされた「Office Mobile for iPhone」と「Office Mobile for Android」が当初日本で利用できず(その後、無償化に伴って解禁)、「Office for iPad」も発表時には日本で利用できない(2014年内に日本語版を提供予定)などの問題が起きた。実は、その理由は日本独自の「PIPC(プリインストールパソコン)版」Officeにあった。

 PIPC版Officeは、自宅に仕事を持ち帰って作業したい、あるいは中小企業やホームオフィスなど1台単位で仕事用PCを買う場合でも「仕事に使ってよいOffice」が欲しい、といったニーズを満たすために存在してきた。

 通常のOfficeライセンスは任意の2台までのコンピュータにインストールが可能だが、PIPC版のライセンスはプリインストールされたWindowsと同じで、特定コンピュータと紐付けられている。つまり、最初に付属しているPC以外にインストールして使ってはならないライセンスだ。独立したソフトウェアではあるが、購入したPCに内蔵された機能と考えればよいだろう。

 ユーザーはPCを買い替えない限り、プリインストールされたOfficeを使い続けることができる。ところが、この仕組みは加入型サービスにはなじまない。Office 365は、そもそもが多種多様な複数端末でOfficeの利用を可能とするサービスであり、しかもサービスを解約すると付随するソフトウェア(具体的にはOfficeのソフトウェア本体)の利用権を失ってしまう。

 契約期間を延長していかなければ途中で使えなくなってしまうものを、PCに内蔵する機能の一部として提供するわけにはいかない。一方で、日本では販売されているPCの92.2%にPIPC版Officeが付属しており、利用者からのニーズも高い。

 そこで日本からの提案で生まれたのが、新しいライセンスのOffice Premiumだった。

tm_1410office_02.jpg Office Premiumの発表会に登壇した米Microsoftのサティア・ナデラCEO。今回が初来日となった。同社が掲げる「モバイルファースト」「クラウドファースト」を体現する製品として、日本向けの新しいOfficeを紹介した
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