老舗パーツショップの達人に聞く――PCゲームに最適なメモリとは?PCゲーマーのためのパーツ選び(2/2 ページ)

» 2014年10月28日 10時00分 公開
[ITmedia]
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パソコンSHOPアークがサンマックスを選ぶ理由

 それではユーザーはどんな基準でメモリを選べばいいのだろうか。

 「古い歴史を持つDRAMメーカーのチップを採用した製品は高品質な場合が多いです」と石井氏は話す。「名前は伏せますが、某メーカーはかつて、いわゆる老舗と呼ばれるメーカーの台湾工場をシェアする形でDRAMを製造していました。しかしモジュールとして採用する際には明らかに質が劣っていた――同じ製造工程にも関わらずです。これはDRAMメーカーとしての経験や知識が品質検証時のテストに大きく影響するからでしょう。品質を保証するためのテストが穴だらけでは質を担保できませんし、モジュールメーカーの採用実績が少なければ、それだけ問題点のフィードバックも少なくなります。老舗の代表格であるマイクロンは、そうした長い経験をまるでうなぎのタレのようにテストプログラムに凝縮しているため、高品質なDRAMをモジュールメーカーに供給できるわけです」。

 「そしてもう1つ、モジュールメーカーのスタンスもあります」と石井氏は続ける。「先ほどのETTのように、いくら有名なDRAMメーカーのチップを採用してても、そもそも簡易的なテストしか行われていないのであれば意味がありません。そういう意味では、DRAMメーカーが作った純正モジュールが最もよいのではないかという結論もあります。ただし、こうした純正メモリはほとんどがアップルやデルといったメーカー製PCに卸されており、せいぜいスポットで入荷できるくらいで入手性は悪い。そこでこの純正メモリを基準としてモジュールメーカーを見ていったとき、同じ品質のものを安定して供給できると思えたのがサンマックスだったのです。サンマックスは品質に対する一貫性があり、基準が高く、リテールボックス版は基本的に正規検査品のチップしか採用していません。もちろん、例外でETTを採用したこともありますが、バルクできちんとETTですよと明記してある。この品質に対するスタンスは同社が10年間守り続けているものです」。

 石井氏は「10段階で平均を5とした場合、5の価格で7の品質を提供できるトータルバランスに優れたモジュールメーカーがサンマックスだった」と語り、「メモリはとかく価格が重視されてしまう傾向にありますが、安いということの意味をもう1度考えてみるべきです。コストがかかるのは時間、つまりきちんとテストに時間を割いているかどうかです」と、正規検査をパスしたDRAMの重要性を改めて強調した。

達人がオススメするPCゲーマー用のメモリは?

 ゲーミングPCのパーツ選びでメモリが重視されるべき理由と、メモリ選びのポイントを聞いた。それでは現在PCゲーミング用マシンを組むなら、具体的にどの製品が適しているのだろうか。最後に“達人”オススメのゲーマー向けメモリを聞いてみた。ちなみに、今はDDR3とDDR4のどちらを選ぶかという問題もあるが、今回はまだまだ使用者が多いと思われるDDR3から選択している。

1、G.SKILL「TridentX」シリーズ

F3-2666C11D-16GTXD/240pin DDR3-2666 CL11-13-13-35 1.65Volt 16Gバイト(8Gバイト×2枚組)キット

 TridentXは、G.SKILLのIntel Z77向けハイエンドメモリシリーズだ。ソーテッドメモリの中ではきちんと検査されたチップを採用しており、高品質ながら価格もそれほど変わらないのがウリという。ファン(付属)を併用することでより実用的な高速メモリとしてゲーマーからの人気も高い。「ほかのメーカーよりも1ランクか2ランク上の高速メモリとしてオススメです」(福田氏)

製品名:F3-2666C11D-16GTXD

価格:2万8580円(税込み/10月28日時点)

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2、SanMax Technologies「BLACK PCB EDITION」

SMD-16G28HP-18M-D-BK/240pin DDR3-1866 CL13-13-13 16Gバイト(8Gバイト×2枚組)SET 1.5Volt SKhynix

 SKhynix DDR3-1866 ネイティブDRAMを8層ブラックモジュールに搭載したサンマックスxアークコラボレーションモデル。JEDEC DDR3現行最速スペックに+αのパフォーマンスが期待できるパソコンSHOPアークイチオシのメモリセットだ。「基本的に未ソートなので、個体によっては高クロックで動作する、という昔ながらの楽しみも残されているのがいいですね」(福田氏)

製品名:SMD-16G28HP-18M-D-BK≫

価格:1万9990円(税込み/10月28日時点)

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3、Corsair「VENGEANCE PRO」シリーズ

CMY16GX3M2A2400C11R/240pin DDR3-2400 CL11-13-13-31 16Gバイト(8Gバイト×2枚組)KIT 1.65Volt XMP

 今購入するならVENGEANCE PROシリーズの2400に注目したいと福田氏。冷却力に優れたVengeance Pro専用ヒートスプレッダで安定動作を実現しているのがポイントだ。「Z77チップセットで利用する際は2133くらいがちょうどいいと言われていたが、チップセットコントローラが進化したことにともない、2400でも安定動作が見込めるうえに、実はこの2400は今が“当たりシーズン”なんです」(石井氏)とのこと。旬なゲーミングメモリとして覚えておきたい。

製品名:CMY16GX3M2A2400C11R

価格: 2万2680円(税込み/10月28日時点)

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 以上、“メモリの達人”にゲーマー向けメモリ選びのポイントと、オススメのメモリを聞いた。もちろん、ゲーミングPCに限らず、メモリはシステム全体の足回りになる重要なパーツ。ゲーム用途以外にも自分に最適なメモリを探している人は、是非パソコンSHOPアークのスタッフに相談してみてはいかがだろうか。

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