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» 2015年01月05日 21時00分 UPDATE

タブレットからクルマの自動運転まで:Tegra K1もApple A8Xも圧倒する高性能へ――NVIDIA、世界初“1TFLOPS”モバイルプロセッサ「Tegra X1」 (1/2)

NVIDIAがTegra K1の後継となるSoC「Tegra X1」(開発コード名:Erista)を発表。最新世代のGPU(Maxwell)を採用し、スマートデバイス向けSoCでは現在最速クラスの同社Tegra K1やApple A8Xを圧倒する性能が得られる。この高性能を車載システムにも生かす戦略だ。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Maxwell世代GPUで描画性能はTegra K1の約1.5〜2倍に

 2015 International CESの開幕を前にした1月4日(米国時間)、米NVIDIAは米ネバダ州ラスベガスで報道関係者向けの説明会を開催し、新モバイルプロセッサ「Tegra X1」(開発コード名:Erista)を発表した。

 同社が現行GPUで採用する「Maxwell」アーキテクチャに対応し、モバイルプロセッサとしては初のTFLOPS(テラフロップス)級性能を実現する。製造プロセスルールは20ナノメートルだ。現時点でプロセッサの出荷時期や搭載製品の発売時期は公開されていない。

tm_1501tegrak1_01.jpg 「Tegra X1」のチップを手に持つ米NVIDIAのジェンスン・ファンCEO

 記者発表会で登壇した米NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、昨年2014年のCESで発表された「Tegra K1」に言及。それまでGeForceとモバイル向けで分裂していたGPUアーキテクチャが統合され、さらに同社としては初の64ビット対応プロセッサコア搭載モデルも用意するなど、モバイルプロセッサとして大きな飛躍を実現した製品だったことをアピールした。

 一方で、同社の現行GPUアーキテクチャはTegra K1の採用するKeplerから次の世代にあたるMaxwellへと移行しており、このアーキテクチャを採用した最新プロセッサとして今年はTegra X1が発表されることとなった。

tm_1501tegrak1_02.jpgtm_1501tegrak1_03.jpg 昨年2014年のCESで発表された「Tegra K1」はKeplerアーキテクチャを採用し、初の64ビットに対応したコアを持つTegraだった(写真=左)。NVIDIAの現行GPUアーキテクチャである「Maxwell」(写真=右)
tm_1501tegrak1_04.jpg そのMaxwellを包含した最新のモバイルチップ(SoC)がTegra X1だ

 Tegra X1は、256基のCUDAコアからなるMaxwell GPU、8コア(ARM Cortex A57×4+A53×4)の64ビットCPUを搭載し、4K動画(H.265/H.264/VP9)の60フレーム再生に対応する。同氏は比較対象として前世代のTegra K1とAppleが「iPad Air 2」で採用している「A8X」の2つを挙げ、そのいずれと比べても大きく性能が向上しており、さらに電力効率でもTegra K1と比べて2倍近い性能を実現していることを紹介した。

 壇上では「Unreal Engine 4 Elemental」のライブデモが実演され、溶岩や煙、崩壊する物体の細かいパーティクルまでを含め、デモを実行するのに十分なパフォーマンスをTegra X1が持つことをアピールした。

 同氏によれば、これと同じデモを実行するにあたり、2年半前のデスクトップ向けGPUでは300ワットの消費電力を必要としていたものが、最新のゲームコンソールである「Xbox One」では100ワットとなり、Tegra X1はさらに10ワット程度で実行可能と、大幅な消費電力削減も実現しているという。

tm_1501tegrak1_05.jpgtm_1501tegrak1_06.jpg NVIDIAによれば、現行のTegra K1は2014年秋にリリースされた「iPad Air 2」の「A8X」と比較してもGPU性能で上回っているが、今回発表したTegra X1はさらにパフォーマンスの向上が顕著だという
tm_1501tegrak1_07.jpgtm_1501tegrak1_08.jpg 「Unreal Engine 4 Elemental」のライブデモ。「Xbox One」で100ワットを要するのと同等の処理が、Tegra X1では10ワットで実行できるという

 またモバイルプロセッサとしては初のTFLOPS級性能を実現していると同氏は説明する。これは1996年にサンディア国立研究所の「ASCI Red」が達成したものだ。ASCI Redは当時としては最速のスーパーコンピュータであり、数年間に渡って最高速コンピュータとして不動の地位を確立していたことで知られている。

 ASCI RedはIntel CPUをベースに構築されたスーパーコンピュータであり、その性能が現在ではわずか指先サイズへと収まってしまうわけだ。消費電力に対する実行性能においてGPUのメリットを示す例の1つと言える。

tm_1501tegrak1_09.jpgtm_1501tegrak1_10.jpg モバイルプロセッサとしては初のTFLOPS級性能を実現している(写真=左)。Intelの最新Core i7プロセッサとFP16/INT16処理の実行パフォーマンスで比較した場合に、GPU処理性能の占める割合をグラフ化したもの(写真=右)
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