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» 2015年11月26日 06時00分 UPDATE

SOHO/中小企業に効く「オンラインストレージ」の選び方(第1回):個人向けオンラインストレージを業務で使うのはなぜダメなの? (1/2)

出先からのデータアクセスに、大容量ファイルのやりとりに、さらには共同作業にと、さまざまな用途に活躍するオンラインストレージ。そんなオンラインストレージの選び方を紹介する本連載の第1回目は、オンラインストレージの利点を紹介すると共に、個人向けサービスが法人ユースには不適切な理由について解説する。

[山口真弘,ITmedia]

オンラインストレージが広く普及しつつある理由

 すっかりメジャーとなったオンラインストレージ。クラウド上の領域にファイルをアップロードすることで、出張先もしくは出先からファイルにアクセスしたり、大容量ファイルをやりとりしたり、あるいは他のメンバーと共同作業を行ったりと、さまざまな用途に活用できる。最近ではスマートフォンやタブレットの普及により、これらデバイスとの間でファイルをやりとりするためのツールとしても有用だ。

Googleドライブ 「Googleドライブ」

 オンラインストレージ以外にファイルをやりとりする手段としては、メールへの添付や、NASの利用などが挙げられるが、オンラインストレージはそれらに対してさまざまな面で強みを持つ。

 例えばメールの場合、添付して送れるファイルはせいぜい数Mバイトが上限で、それを超える容量のメールを遮断する法人も少なくない。また同じファイルを多数のメンバーに送信する場合、メール添付だと容量が膨れ上がってしまうのも困りものだ。例えば5Mバイトのファイルを添付したメールを社内で100人に同時送信すると、メールサーバ上では500Mバイトに膨れ上がってしまう。

メールの添付ファイルであっという間に 大きな添付ファイルを多くやりとりしていると、保存容量はあっという間になくなってしまう

 その点、オンラインストレージであれば、写真や動画などマルチメディアファイルや、それらを多数貼り付けたファイルサイズの大きいオフィス文書、さらにはフォルダを丸ごと圧縮したアーカイブファイルなど、数十MバイトはおろかGバイト単位のファイルを送るのも容易だ。多数のメンバーに送信する場合も、ファイルそのものではなくリンクを送信するだけなので、メールサーバの負担になることも無い。

iCloud 「iCloud Drive」

 また、メールはその仕組み上、盗聴が比較的容易であることに加えて、うっかり宛先を間違えて送ってしまった場合に取り消す手段が存在しないのもネックだ。オンラインストレージであれば、いざというときはリンク先のファイルを削除するという選択肢もある上、法人向けサービスではIDやファイル単位で細かな権限設定が可能なので、いざ宛先を間違えて送信しても、権限がなければアクセスが不可能だ。

OneDrive 「OneDrive」

 では、NAS(Network Attached Storage)と比較した場合はどうだろうか。NASは社内のデータ置き場としては非常に重宝するが、外出先から自由にアクセスするための設定はやや面倒で、リモートアクセスのためにポートを開けることがセキュリティ上リスクになることもある。オンラインストレージであれば、もともと外部からのアクセスを前提に設計されているため、セキュアさに関しては格段に上だ。

 またNASはオンラインストレージと違って月額料金が掛からない半面、バックアップ用のドライブや、冗長性を増すためのレプリケーション用機材やソフトウェアを手配すると、結構な予算が必要となることもしばしばだ。また、容量は基本的に固定となっており、拡張の容易さについてはオンラインストレージに比べて柔軟性に欠ける。

 さらに最近のNASは小型化に伴って物理的な盗難というリスクも高まりつつあるほか、火災や水害といった災害などにも弱い。また、自社ビルが設備工事のため停電するというだけで対応を強いられたりと、何かとシステム管理者の手を煩わせることも多い。専用のデータセンターを利用するオンラインストレージであれば、こうした難題もクリアできるというわけだ。

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