日本で急成長するSynology メッシュ対応ルーターや新OS「DSM 7.0」も披露(1/2 ページ)

» 2018年10月18日 19時40分 公開
[石川ひさよしITmedia]

 Synologyは10月18日に開催された「Synology 2019 Tokyo」にあわせて製品発表会を開催した。「Synology新製品&ソリューション発表会」と題された同イベントでは、今後同社が投入する予定のハードウェア・ソフトウェア機能が紹介されている。

 具体的なハードウェア・ソフトウェア機能の紹介に先立ち、台湾本社からCEOのDerren Lu氏が来日しあいさつを行った。Lu氏によるとSynologyのグローバルにおける2017年の成長率は20%を達成したとのこと。また、4月に同社は「Synology Japan」を設立しており、日本市場においては40%を超える増収を実現したと紹介した。

本社CEOのDerren Lu氏

 同氏は「安定」安全」「サービス」の3つのキーワードを掲げ、同社の製品・サービスを紹介した。「安定」については、同社のNASのOS「DSM」について触れた。DSM 6.2を例に挙げると、リリース前に2万5000以上のテスト項目を検証。社内ラボにおけるテストだけでなく同社の本番環境のNASサーバでもテストをしているとのことだ。そして、こうした検証では自動化も進め効率を上げていると説明する。

 さらに、世界中のボランティアにもテストプログラムへの参加を募り、公開前の段階で7万1000台がテストプログラムに参加し、リリースの際には最も信頼性の高いOSになったとアピールした。

 「安全」はセキュリティとして説明している。同社は2017年、セキュリティに関する国際的なCVE採番機関「CNA」に参加を果たしており、これに続き2018年には「FIRST」のメンバーになった。FIRSTでは、明らかになった脆弱性に対して早期にアクセスができるとのこと。後に詳細について説明を行ったセールスマネジャーの田野氏によれば、WPA2における脆弱性への対策では、Appleが52日、NETGEARが17日を要したのに対し、Synologyでは24時間で対策できたとアピールしている。

Synology Japanのセールスマネジャーである田野久敏氏

 「サービス」についてはテクニカルサポート人員の増強を進めている。世界で150人以上、そして日本にもスタッフを置いているとのことだ。また、人材投資だけでなく、より強力なテクニカルサポートを実現するために、深層学習やAIテクノロジーも活用していると言う。

DSMは7.0へ RAIDのリビルド高速化やDriveのストリーミングも

 具体的な製品・サービスについては田野氏が説明した。まずここで明らかにされたのが2019年上半期でのリリースを目標に開発が進められているDSM 7.0だ。このバージョンではユーザーインタフェースを一新し、「対話ガイド付きデザイン」を採用する。

 ユーザーの操作に対して、NASが今現在どのような処理をしているのかをより分かりやすく、また、エラーコードが表示された時も何を意味しているのか、どのような対策を実施すればよいのか直感的に示せるようになるという。この他、NASのセットアップをスマートフォンで行える「DS Finder」も導入し、NAS導入のハードルを下げていくとのことだ。

次期OSのDSM 7.0では対話ガイド付きデザインを採用
障害発生時も、何が生じていてどう対応すればよいかを提案することで復旧を助ける
PCだけでなく、スマートフォンからもNASのセットアップが可能に

 NASの核心であるHDDについては、ユニークな機能が紹介された。まずはRAIDに障害が発生した際のリビルド時間の短縮。今回紹介された機能では、4ベイのうち3ベイを用いてRAIDを構成し、1ベイには予備のHDDを搭載しておく。RAID側のHDDでは、同社が蓄積してきたデータやSMART、Seagate IHMなどの情報から、どのHDDが障害が発生しそうかの故障予測を行い、障害が発生しそうなHDDから予備のHDDにデータをコピーする処理を行う。こうした処理により、いざ障害が発生した際、通常の方法では8時間を要したリビルドが、3時間にまで短縮されるとのことだ。

RAIDのリビルド時間を短縮する技術が発表された
90%という高精度のHDD予測検知も、同社の経験ならでは

 ソフトウェア面では「Synology Drive」の強化が紹介された。Synology Drive登場以降も、幾つかのプラットフォームでは従来のソフトウェアと併用されてきたが、まずこれをSynology Driveシリーズに統合する。あわせて、作業が必要な時だけNASから該当するデータをダウンロードするストリーミング方式の共有機能も紹介された。

 MicrosoftのWindows Cloud Filterに対応し、PCのエクスプローラからファイル一覧を見ることができるが、そのプロパティを見ると0バイト。しかしクリックしてファイルを開こうとすると、そのタイミングでNASからダウンロードされ、PC上で作業可能になるといった流れだ。例えば、SSD化によってローカルストレージ容量が小さい現在のPCでも、使用量を節約できるといったメリットがあるという。

実際に作業する時にNASからデータをダウンロードすることでローカルストレージを節約できる

 同時に、増分同期機能にも対応。こうした作業の際、100MBのファイルをダウンロードしたら、通常、作業後に100MB+修正分をアップロードしなければならないところだが、同機能では差分のみをアップロードするだけで済むとのことだ。多人数が作業する場合や、WANなどの従量課金制のネットワークを利用する場合などで、帯域や料金を節約できるという。

増分同期に対応し、ネットワーク帯域を節約できる

 ビジネスバックアップ機能では「Active Backup Suite」を紹介。ローカルだけでなくクラウドにも対応しており、1カ所で集中管理が行える。リストアもユーザー自身で行えるため、情報システム担当の負荷が軽減されることが特徴だ。また、グローバル重複排除機能を備え、NAS側のストレージ使用量も節約できる。Active Backup SuiteはSynologyのNASを導入すれば無償で使える点も強くアピールしている。CMS機能も10,000台のNASをたった1台で管理できるように強化される。地区ごとのグループ分けやそれに基づくデータ分析などの機能も備え、大規模なチェーンストアなどにも対応できる。

Active Backup Suiteは、ローカル/クラウド対応のビジネス向けバックアップ機能であり、同社NAS購入者なら無償で利用できる
フランス企業でのCMS導入事例を紹介。1350台のNASを1台のNASで一括管理しているとのこと
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