携帯電話の購入時、消費者はどのような点を重視して機種を選択するか――。これは端末メーカー、販売店、アプリやサービスのベンダーなど、幅広い業界関係者にとって気になるポイントだが、これについても今年度調査ではスマートフォン普及の影響が色濃く表れている。
まず、スマートフォン、フィーチャーフォンの別を問わない集計では、2011年度調査でトップだった「デザインを重視する」という回答がトップ5から消え、今年度は代わりに「サイズを重視する」という回答が大きく伸びた。機種による形状の差があまりないスマートフォンが普及したことで、見た目のデザインよりも、持ちやすさなどの実用性を重視するユーザーの比率が高くなっている。
スマートフォンユーザーだけを取り出した集計では、重視する点の1位と2位はフィーチャーフォンと同じで価格面だったが、フィーチャーフォンで7位(46.9%)の「メーカー・ブランド」がスマートフォンでは4位(71.6%)となっており、メーカーやブランドによる“指名買い”が増えていることがうかがえる。続く5位、6位は「タッチパネル操作」「さくさく動作」で、日常的な快適性に直結する要素を多くのユーザーが重視している。
「最新バージョンOS」「CPU」を重視するという回答もそれぞれスマートフォンユーザーの半数を超えており、一部のマニア層のみならず、現在では多くのユーザーがパソコンと同様に性能を気にしていることが分かる。また、「購入後のバージョンアップ」との回答も高く、2年契約が前提となる中で事業者やメーカーが継続的にその機種をサポートしてくれるかどうかにも関心が集まっている。
悪意のあるアプリやサービスによる個人情報の詐取が問題視される中、「携帯電話に入っている個人情報を意識している」と答えたユーザーは、スマートフォンユーザーで86.2%、フィーチャーフォンユーザーで63.5%となっており、スマートフォン利用者の大部分は一定のセキュリティ意識を持って端末を使っていることが分かる。
「アプリケーションのダウンロードや操作時にアプリケーション提供元に個人情報が送信される場合があることを知っている」と答えたユーザーはスマートフォンで77.2%、フィーチャーフォンで36.9%となり、前の質問に比べると端末の違いによって差がより大きく開いている。ただし、スマートフォンユーザーでも、前の質問の86.2%から77.2%へと回答率が小さくなっていることからは、個人情報に関するリスクを漫然と意識しているものの、具体的にどの局面でどのような情報が流れているかまでは考えが及んでいないユーザーも一定数存在することが伺える。
そのほか、2012年度調査では、災害時にほしい機能についても質問しており、災害情報を簡単に入手できる機能を82.6%と多くのユーザーが求めていることが分かった。また、この質問ではラジオ受信機能を求めたユーザーが72.5%とテレビ機能の53.4%を上回っており、十分な電源確保に不安のある災害時、ユーザーがラジオに期待する役割が大きいこともあらためて確認された。
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