100台のiPad miniが中古車選びを支援――ガリバーのWOW!TOWN大宮店

» 2012年12月12日 22時38分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo とても中古車販売店には見えない「WOW!TOWN」の外観。気軽に入ってもらえるよう、それらしくない外観にしたという

 “日々の生活を楽しくする車選び”をコンセプトに据えた中古車展示販売店「WOW!TOWN」(ワオタウン)を展開するガリバーインターナショナルが、大宮の新店舗に100台のiPad miniを導入する。専用アプリはレコメンド機能が強化され、来店者のクルマ選びをより強力に支援する。

 WOW!TOWNは、スペックや値段ではなく、「クルマを使って、誰とどこで何をしたいのか」といった生活者目線で中古車を選べる場を目指した展示販売店。展示エリアは「FAMILY」「ACTIVE」「FASHION」「ECO&ECO」「DRIVING PLEASURE」の5つのテーマゾーンに分かれ、それぞれのゾーンにはテーマに合った数々のクルマとその利用シーンをイメージさせるグッズや小物が並んでいる。来店者は自分のドライブシーンを思い浮かべ、楽しみながらクルマ選びができる。

 IKEA(家具販売大手)を参考にしたという店内は北欧風のインテリアで統一され、気軽に立ち寄れるようカフェやキッズスペースを用意。クルマ選びの支援端末としてiPadを貸し出しているのも注目を集めた。

 ガリバーインターナショナルのマーケティングチームでリーダーを務める坂井智代美氏は、1号店として7月にオープンした幕張店は4カ月間で3600人が来店し、そのうち550人が成約に至るなど好調なスタートを切ったと説明。来店者の属性についても、従来型の店舗に比べて家族連れやカップルが増えるなど、これまでリーチできなかった層に届いていることが分かったという。

 12月15日にオープンする大宮店は、12月8日にオープンした大阪・箕面店に続く3店舗目。屋内展示を充実させ、クルマ選びの支援端末をiPadからiPad miniに変更するなど施設の充実を図った。

Photo コンセプトは「クルマ選びのテーマパーク」。利用シーンを思い描きながらクルマを選べるよう展示を工夫している

Photo フロントガラスのQRコードにiPad miniをかざすと詳細情報が表示される。気に入ったクルマは「いいね!に入れる」をタップすると端末内に保存される

Photo iPad miniに保存したクルマの情報は、受付番号を入力することでMacの大画面に表示できる

Photo クルマ選びのさまざまなシーンでiPad miniが使われている

iPad miniを通じたレコメンド機能を強化

 WOW!TOWNは幕張店のオープン当初からクルマ選びの支援端末としてiPadを採用しており、最適なテーマゾーン選びや気に入ったクルマ情報のクリッピング、情報閲覧用の端末として来店者に貸し出していた。

 しかし、持ち歩いて使うには重くて扱いづらいという声も挙がっていたことから、箕面店と大宮店のオープンを機にiPad miniに変更。内蔵アプリについてもレコメンド機能を強化し、より楽しみながら“お気に入りの1台”を見つけられるようにした。

 新機能の1つは、シーン別のレコメンド機能。展示場内にあるQRコードをiPad miniで読み取って質問に答えると、その答えに応じたクルマが表示されるというものだ。質問は「イツイコ?」「ダレトイコ?」「ドコイコ?」「ナニシヨ?」「ナニキコ?」「ドーノロ?」「ドコハシロ?」の7つ。例えば「ダレトイコ?」のQRコードを読み取るとiPad miniの画面上に「子供」「夫婦」「恋人」「友達」「ペット」など、一緒に乗りたい人の候補が表示される。恋人を選ぶと、恋人と乗るのに適したクルマの候補がガリバーの在庫の中から抽出され、表示されるといった具合だ。

 ほかにも気に入ったクルマの詳細情報を表示すると、画面下部にレコメンド情報が追加で表示されるようになるなど、提案の要素が強化されているのが分かる。

Photo 店内にあるQRコードを読み取ると、答えの候補が表示される

Photo 選んだ答えに応じたクルマの候補が表示される

Photo 気に入ったクルマの詳細画面には、ほかのおすすめのクルマも表示される

 これは、クルマに詳しくない人でも4000台というガリバーの在庫の中から、好みのクルマを絞り込めるようにするための工夫であるとともに、営業の効率化を図るための策でもある。

 「ある程度(営業・販売フローを)自動化していかないと、これからの販売目標の達成は難しくなる。iPadでクルマ選びの支援をどこまで極められるか。完成度からいえば、今のアプリはまだまだこれからで、日々改良していくことが重要」(ガリバーインターナショナル クラウドプロジェクトリーダーの椛田泰行氏)

 レコメンドの仕組みは今後、自社で開発することも検討しており、「同じ年齢層の人が見ているクルマ、同じスタイルの人が見ているクルマなど、マトリックスをしっかり分析して役立てていきたい」と話す。

 目指すのは「こちらが接客しなくても、お客様が買いたい車を探せる自動販売機のようなシステム」だと椛田氏。「できるかどうかは別として」(同)と控えめだが、常識にとらわれない発想で中古車市場を変えてきた同社なら、実現できるかもしれない。

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