原子力なしで乗り切った東京電力、夏の最大需要は前年から3%増加電力供給サービス

東京電力が発表した今夏の電力需給状況によると、関東を中心とする管内の最大需要は前年よりも3%増加した。2010年と比べると15%の減少で、企業や家庭における節電対策の効果は引き続き大きく、原子力発電所を稼働させない供給体制でも需給率を93%にとどめることができた。

» 2012年09月18日 13時21分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 原子力発電にどこまで依存すべきなのか。政府が発表したエネルギー戦略をめぐって、さまざまな議論が飛び交う中、東京電力が今夏の電力需給状況の概要を発表した。それによると最大需要が発生したのは8月30日(木)の15時で、電力使用量が5078万kWに達した。前年の最大電力よりも3%増加し、2010年と比べると15%減少した。

 8月30日の最高気温は東京電力の管内平均で35.0度を記録した。これは最大電力を記録した日で比較すると前年の36.0度、2010年の36.2度よりも低かった。前年は厳しい節電対策を実施した効果が大きかったとみられるが、一方で今年はまだ削減余地があったとも考えられる。

 電力の供給に関しては、2010年と2012年の最大需要を記録した日の詳細なデータが公表された(図1)。それを見ると一目瞭然で、2010年には24時間を通して原子力が約1000万kWの電力を供給し続け、2012年はその1000万kW分の需要が減った形だ。

図1 2010年と2012年の最大電力が発生した日における電力供給状況。出典:東京電力

 細かく見ると今夏は夜間に火力発電(石油、LNG、LPG)を増やしたほか、緊急設備電源として鹿島火力発電所などの設備を増強して需要に対応した。それでも東京電力が5月に発表した際の供給力の見込みは最大5771kWで、それと比べると実際の最大電力は約700kWも少なく、結果として火力発電の増強は万一の場合の対策に終わったと見ることもできる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.