1台の発電機で2回発電「コンバインド・サイクル」キーワード解説

全国の電力会社が火力発電で大部分の電力を発生させているいま、燃料をいかに効率よく利用するかということが大きな課題となっている。燃料を効率良く使う発電方式の中で、特に実績を挙げているのが「コンバインド・サイクル」という方式だ。

» 2012年11月22日 13時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 コンバインド・サイクルとは、ガスタービンを利用する発電機から得た動力と、ガスを燃焼させるときに発生する熱の両方を利用して発電する方式。まず、空気を圧縮してガスと一緒に燃焼させてガスタービンを回す。この回転力で発電機を回して発電する。

 さらに、ガスを燃焼させたときの熱を利用して水蒸気を作り、その水蒸気で蒸気タービンを回して発電するため、「熱効率」が高くなる。熱効率とは、燃料が持つ熱エネルギーから取り出したエネルギーの割合を示す。熱効率が高ければ高いほど、少ない燃料で発電設備を動かすことができるので、燃費が良くなる。

 電気事業連合会によると、最新式のコンバインド・サイクル発電では、熱効率が50%を超える。これは、1950年代の火力発電と比べると2〜3倍も高い値だ。そして、コンバインド・サイクル発電は、現存するほかのどの火力発電方式より熱効率が高い。

 資源エネルギー庁は、2020年にはコンバインド・サイクルの熱効率は56%に達し、2030年には60%を超えると予測している。しかし、現実には2013年にも熱効率が60%を超える発電機も登場する予定だ。

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