メガソーラー専門の遠隔監視サービス、クラウド利用で数万円からエネルギー管理

メガソーラーは発電開始後の運用期間が長い。20年以上もの間、故障がないか、発電量は予測値から外れていないか、監視し続ける必要がある。これらの業務を一部肩代わり可能な遠隔監視サービスが広がり始めた。

» 2013年04月22日 13時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 メガソーラーは20年以上発電が続くインフラだ。日常の管理運用作業の量は少ないものの、それなりの手間が掛かる。特に複数のメガソーラーを運営すると、管理コストがばかにならない。

 三井情報は比較的低コストで導入可能なメガソーラー向け遠隔監視サービスを2013年4月から開始した。料金は1サイト、出力1MW当たり月額数万円からである。機器の異常報告から発電状況や売電状況まで、基本的な監視サービスを受けられる。

 サービス導入にあたって、まず、三井情報のセンサーとリモートゲイトウェイを発電設備内に設置する。一部のメガソーラーの場合は接続箱を用意することもある。太陽電池モジュールを直列に接続したストリング単位で発電量を検知できるため、故障箇所の特定が容易になるという。

 センサー情報は、三井情報が運営するクラウドサービスに集まり、集計、計算処理が加わる。ユーザーはPCからWebブラウザ経由でアクセスし、どこからでもレポートを閲覧できる(図1)。収集した情報は20年以上の長期保管が可能だという。

図1 遠隔監視サービスの全体像。出典:三井情報

 レポートは対象ユーザーごとに3種類に分かれる(図2)。現場管理者向けには、機器ステータスを表したレポートがある。各種設備の異常を表すアラーム表示にとどまらず、メールによる警報通知、パワーコンディショナーや遮断機の遠隔操作機能も用意した。

図2 レポート画面。出典:三井情報

 事業管理者向けのレポートは、もう少し長期間の管理に向く。発電効率の低下や異常を表示できる他、計画時に予測した発電量の期待値との比較表示が可能だ。投資家向けのレポートでは発電システムの発電状況や収益状況、累積状況を表示できる。

 同社は、これまで生産工程やインフラで使われる制御システムSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)を利用した製造現場や商業施設、空調の遠隔制御サービスを提供している。今回はSCADAをメガソーラーの遠隔監視に適用した形だ。

 メガソーラー向けのサービスは、2012年から限定した顧客に向けて提供しており、今回、出力1MW以上のメガソーラーを運営する企業に幅広くサービスを開放した形だ。2013年度には150サイト(出力500W相当)、今後2年間で1GW相当の契約を見込む。今後は風力発電にも遠隔監視サービスの対象を広げる計画だ。


【2013年4月22日13時55分 追記】
遠隔監視サービスで利用可能なセンサーは、日射計、気温計、風向風速計、パネル裏面温度計などの気象センサーの他、ストリングモニターとITV(監視カメラ)である。電力状況表示は1分単位で表示可能だ。

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