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» 2013年05月10日 15時00分 UPDATE

キーワード解説:安い電力を家庭に供給する「高圧一括受電」

マンションで使う電力は一般のビルと変わらないほどの規模になる。本来はビルと同じように企業向けの安い電力を買うことができれば電気料金は安く済むが、現実には各家庭が電力会社と個別に契約して高い電力を購入している。この問題を解決する方法が「高圧一括受電」である。

[石田雅也,スマートジャパン]

 これまでは当然のことのように、マンションの各住戸が個々に電力会社と契約して電力を購入してきた。戸建て住宅と同じ契約形態である。しかし改めて考えてみれば、非効率な話だ。

 一般のオフィスビルでは管理会社が電力会社と契約して、まとめて電力を購入するのが普通である。大量にまとめて買えば値段が安くなるのは社会の常識で、これは電力にも当てはまる。

 マンションでもオフィスビルと同じように、電力をまとめて購入することは可能だ。それが「高圧一括受電」と呼ぶ利用方法である。最近になって導入するマンションが増え始め、さらに2013年度には政府の補助金制度も始まった。

 では実際に電気料金はどのくらい安くなるのか。中部電力の料金体系をもとに、家庭向けと企業向けの標準的なメニューを比較してみよう。家庭で電力使用量が多い場合に適している「従量電灯C」と、企業で電力使用量が少ない場合に向いている「高圧A」の料金表を図1に示した。

juryou_koatsu_chubu.jpg 図1 家庭向けと企業向けの電気料金の比較(中部電力の例)

 月額固定の基本料金は企業向けが5倍以上も高い。その代わりに、使用量に応じて課金される電力量料金は逆に3割以上も安くなる。使用量や季節によっては2分の1くらいまで単価が下がる。さらに基本料金のもとになる月間の最大電力は各住戸をまとめると平準化されるため、実際には5倍にはならない。

 このような単価の差を利用して、まとめ買いのメリットを発揮できるのが高圧一括受電の特徴だ。マンションの規模などにもよるが、各家庭の電気料金が5%くらい安くなるのが通常のケースである。

 ただし高圧一括受電を利用するためには、マンション内の設備を変えなくてはならない。電力会社から送られてくる高圧の電力を家庭で使える低圧に変換するための受変電設備のほか、住戸ごとに電力使用量を測定・収集するためのスマートメーターを設置する場合が多い(図2)。

koatsu_haseko.jpg 図2 高圧一括受電サービスの仕組み(長谷工グループの例)。出典:長谷工アネシス

 最近はマンション向けに高圧一括受電サービスを提供する会社が増えて、設備の設置・運用を含めて丸ごと請け負う場合が多い。設備費や管理費がかかるため、その分を差し引くと各家庭の電気料金は5%程度の削減になる。

 さらに高圧一括受電と合わせてマンション全体の電力使用量を最適化するMEMS(マンション向けエネルギー管理システム)を導入すると、よりいっそう電気料金を引き下げることが可能だ。国の補助金もMEMSの導入が条件になっている。特に新築の大規模なマンションでは、高圧一括受電とMEMSを組み合わせた電力供給が一般的になっていくだろう。

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