全国でデマンドレスポンスを開始、節電要請に応えると電気料金を割引電力供給サービス

エネットは500kW以上の顧客に対してデマンドレスポンスサービスを全国で開始する。エネットが指定した時間帯において、顧客が基準消費電力量を下回るように節電した場合は、インセンティブとして電気料金を割り引く。

» 2013年06月07日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 エネットは顧客と協調して実現する法人向けデマンドレスポンスサービス「EnneSmart」を2013年7月1日から全国で展開する。2012年7月から関東圏と関西圏に限定して開始し、数十のビルで提供してきたサービスを全国に広げる形だ。

 エネットは企業向けに電力を販売できる「特定規模電気事業者」の中で最大手の企業。同社から500kW以上の契約電力を購入する法人を対象としたサービスだ。

 EnneSmartサービスの基本的な考え方は、翌日に需給がひっ迫するかどうかをエネットが予測。もしひっ迫する場合は、顧客の就業時間中に節電要請を伝える(図1)。特定の時間帯を指定した形で、顧客ごとに定めた消費電力量の基準値以下になるよう節電してほしいという依頼だ。ただし、基準値からどの程度節電しなければならないかという要請ではない。具体的な節電量は顧客の判断に任されている。

 図1にあるリベートは節電に対するインセンティブだ。当月の電気料金を節電量に応じて割り引く。非常に分かりやすい動機付けである。なお、契約上は当日の午前中にひっ迫が予測できた場合、当日の午後から要請する場合もあり得るという。

図1 デマンドレスポンスサービスの基本的な流れ。出典:エネット

 EnneSmartには細部が異なる2種類のサービスがある。「レスポンス」と「レスポンスLight」だ。レスポンスは大部分の節電要請に応えられるような顧客に向けたサービスであり、レスポンスLightよりもリベートの額が大きい。

 レスポンスでは基準値以下に抑え込む節電が実行できなかった場合に一種の「ペナルティ」がある。基準値を上回った量を、月内で基準値以下に節電を実行できた量と合算して計算する。なお、ペナルティとはいえ、合算した値が節電になっていなかった場合でも割り増し料金が請求されることはない。

 一方、レスポンスLightでは基準値以下の節電を実行できなかった日の数値は全く考慮に入らない。特定の時間帯には節電要請に応えられないという企業に向いたサービスだ。

見える化サービスで支援

 エネットは電力の供給先となる顧客に対して、「いんふぉエネット」サービスを提供している(図2)。これは見える化サービスの一種であり、30分ごとの実績使用電力をWebブラウザから閲覧できるというものだ。今回のレスポンスやレスポンスLightでは、いんふぉエネットの画面を顧客の管理者などが閲覧し、節電が実行できているかどうか、その場で分かるようにした。節電の規模が不足していた場合、顧客側で即時の対応が可能になる。

図2 いんふぉエネットの画面例。出典:エネット

 エネットは今回のEnneSmart以外にもデマンドレスポンスサービスを限定的に提供している。例えば、マンション向けの「EnneVision」(関連記事)や、顧客側のガスコージェネレーション(自家発電)を利用した「Smart Saving Power」である。「現在はEnneSmartとこれらのサービスを統合するスケジュールが見えていないものの、最終的にはネガワット市場として融合していくと考えている」(エネット)。

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