2030年度に電力自給率45%へ、神奈川県が長期目標を引き上げスマートシティ

神奈川県が2030年度に向けた「かながわスマートエネルギー計画」の骨子をまとめた。再生可能エネルギーとコージェネレーションの2本立てで分散型の電源を普及させながら、地域全体の節電対策を推進する。2012年度に11%だった電力の自給率を2030年度に45%まで引き上げる計画だ。

» 2013年09月11日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2年前の2011年9月に発表した「かながわスマートエネルギー構想」では、2020年度に電力の自給率を20%に高める目標を打ち出していた。いよいよ「構想」の段階から具体的な「計画」に発展する過程で、目標値はさらに高くなった。県内の電力自給率を2020年度に25%、さらに2030年度には45%まで引き上げる意欲的な計画だ(図1)。

図1 神奈川県が掲げる電力消費量の削減と分散型電源の拡大目標。出典:神奈川県産業労働局

 計画を推進するうえで基本方針は3つある。「原子力に過度に依存しない」「環境に配慮する」「地産地消を推進する」。この3つの方針を集約した指標が電力の自給率で、県内の電力消費量に占める分散型電源の発電量の割合である。分散型電源は企業や自治体、家庭などで発電できる設備のことで、再生可能エネルギーとコージェネレーションの2種類で実現する。

 新たに策定した計画では、再生可能エネルギーを2012年度から2030年度までに約6倍に、コージェネレーションを約3倍の規模に拡大する。一方でHEMS/BEMS(家庭/ビル向けエネルギー管理システム)などを活用した節電対策を普及させることによって、県内の電力消費量を約1割削減する考えだ。

 再生可能エネルギーは2012年度の時点では水力発電が最大だが、2017年度までには太陽光発電が拡大して全体の半分以上に達する(図2)。さらに2030年度には発電量の8割以上を太陽光が占める想定になっている。

図2 再生可能エネルギーの拡大目標。出典:神奈川県産業労働局

 神奈川県は2年前に構想を発表した段階から太陽光発電の拡大に注力してきた。全国に先駆けて「屋根貸し」の事業にも取り組んでいる。その成果は早くも表れて、2011年度と2012年度に太陽光発電の導入量が大幅に増えた(図3)。最近は大規模なメガソーラーの誘致にも力を入れている。

 それでも2020年度と2030年度の目標値はかなり高い。発電出力で2020年度は2012年度の約10倍、2030年度は約23倍の規模が必要になる。新たなメガソーラーの候補地の選定を含めて、より具体的な実施策が求められる。

図3 再生可能エネルギーの発電量実績。出典:神奈川県産業労働局

 「かながわスマートエネルギー計画」は2014年1月に最終案が確定して、4月から実施段階に移行する。同時に「神奈川県再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例」を施行することが決まっていて、県を挙げて分散型電源の導入を推進する体制が整う予定だ。

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