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» 2013年12月04日 09時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:リチウムイオン電池がフィルム型に、厚さ0.3ミリで蓄電可能

フィルムにゲル状の物質を塗布した極薄のリチウムイオン電池が実用化目前である。積水化学工業が開発したもので、厚さは蓄電容量によって0.3〜5.0ミリメートルにすることが可能だ。軽くて形状を自在に変えることができ、住宅や自動車の用途を見込んでいる。2015年度に発売する予定だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 家庭やオフィスの節電対策で蓄電池を導入するケースが増えている。自動車でもハイブリッド車を含めて電気で走るタイプには蓄電池が不可欠だ。現在の主流はリチウムイオン電池を使った製品だが、大きくて重く、しかも価格が高いことが難点である。こうした課題を解決する新しい技術を積水化学工業が開発した。

 リチウムイオン電池は正極のリチウムイオン酸化物と負極の炭素材のあいだを電気が伝わることで充電・放電を可能にする。電池の内部にはイオンを発生させるための電解質が必要だが、積水化学は一般的な液体ではなくてゲル(ゼリー)状の新素材を開発することに成功した。

 この新素材と正極・負極の材料をフィルムに塗布してリチウムイオン電池を製造する(図1)。フィルム型の電池の大きさは長さが2メートル、幅が30センチメートルまで可能だ。厚さは電池の容量によって0.3〜5.0ミリメートルを想定している。

sekisui2_sj.jpg 図1 フィルム型のリチウムイオン電池。出典:積水化学工業

 フィルム型にすることで、薄くて折り曲げが可能なほか、重さも従来の製品と比べて約3分の1に減る。蓄電池に加工した場合、10センチメートル四方(1リットル)の体積で900Whの容量になる。ちなみに日産自動車のリーフに搭載されているリチウムイオン蓄電池の容量は24kWh(2万4000Wh)である。

 さらに電池の生産方法も改善する。通常は真空注入方式でリチウムイオン電池を生産するが、ゲルを塗布する方式に変更すると高速化を図ることができる。積水化学の社内比較では10倍の生産性を発揮することができ、蓄電池の大きな課題であるコストダウンにつなげることが可能になる。

 今後は各種のサンプルを試作して、2014年の夏から提供する予定である(図2)。顧客の評価をもとに改良したうえで、2015年度から正式に発売する。用途は自動車、住宅、電子機器などを想定している。これまで蓄電池を設置しにくかったスペースを活用できる点をメリットに訴求していく方針だ。

sekisui1_sj.jpg 図2 リチウムイオン電池のサンプル。出典:積水化学工業

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