クール宅急便もワイヤレス充電、時間との勝負電気自動車(2/2 ページ)

» 2014年02月24日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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店舗用BEMSや太陽光発電とも組み合わせる

 今回の実証実験はより大きな実証実験*1)の一部という位置付けになる。デンソーと豊田通商、セック、ヤマト運輸、セブン-イレブン・ジャパン、トヨタ生活協同組合は共同で、商業施設向けエネルギーマネジメントシステムの実証実験を2012年4月に開始している。今回のワイヤレス充電は実証実験期間の後半に加わった形だ。どちらも2014年12月まで実験を重ねる。

 先行して始まった実証実験には4つの目的がある。第1に商業施設向けBEMS(ビルエネルギー管理システム)を開発し、ヒートポンプ式給湯器と太陽光発電を連携させるシステムを実証する。この実験には店舗への配送用車両の立ち寄り時間帯を実績から推定して、必要な電力をあらかじめ確保する仕組みも含まれている。ワイヤレス充電に先駆けて、これまで充電ケーブルを使う充電の実験を進めてきた*2)

 第2の目的は車載蓄電池を小型化することだ。燃費向上とコスト低減を実証する。アイドリングストップ用の蓄電池を本来備えていない車両に新たに搭載するため、小型化は欠かせない。基地となる配送センターで比較的大量の電力を充電し、今回ワイヤレス充電用の設備を設置した立ち寄り先の店舗で継ぎ足し充電をすれば、1充電当たりの容量を小さくできるという発想だ。

 第3の目的は商業施設内の蓄電残量と配送用車両の位置情報、車両の蓄電残量をリアルタイム監視するというもの。最適な充電場所に配送用車両を誘導することが目的だ。第4の目的は停電や災害時に店舗に設置した可搬型蓄電池を役立てるというものだ。

 デンソーは今回のワイヤレス充電技術を実験にとどめるつもりはない。「2010年代の実用化を目指す。今回は商用車を用いた実証実験を進めているものの、実用化時期には商用車以外も狙う」(デンソー)。

*1) 豊田市は2010年4月から経済産業省が進める「次世代エネルギー、社会システム実証地域」の1つ。今回は豊田市における「低炭素都市構築プロジェクト」の一環として実施するものだ。
*2) 今回のセブン-イレブン豊田上野町店の他、豊田市内の2カ所、ヤマト運輸のトヨタ松平支店と、トヨタ生協ミグリアミニ加茂川店に、ケーブルを用いる充電ポールを設置済みだ。国内で広く採用されているCHAdeMO方式を採用した。

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