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» 2014年02月28日 13時00分 UPDATE

スマートオフィス:ガスと太陽光でBCPを強化、停電時でも1日以上のエネルギーを供給

3年前の東日本大震災を契機に、BCP(事業継続計画)を作り直した企業は多い。特に電力の供給がストップした場合の対策が重要だ。大阪ガスは自社ビルにBCPの機能を実装して、エネルギーの消費量を40%も削減した。ガスと太陽光を組み合わせたエネルギー供給システムが効果を発揮する。

[石田雅也,スマートジャパン]
osakagas_sj.jpg 図1 地上3階建ての「葺合(ふきあい)ビル」。出典:大阪ガス

 大阪ガスは神戸市内に建設した自社ビルで、BCP(事業継続計画)に対応したエネルギー供給システムの運用を開始した。地上3階建て、延べ床面積が2000平方メートル程度の小規模なビルである(図1)。ガスを使った省エネ設備と太陽光発電システムを組み合わせて、1日以上の停電が発生しても事業の継続に必要な機器類にエネルギーを供給できる。

 このビルに導入した設備は、冷暖房と発電機能があるガスヒートポンプ、自立運転が可能な太陽光発電システムのほか、ガスの供給が止まった場合に備えてLPG(液化石油ガス)のボンベもある(図2)。容量が50キログラムのLPGボンベ5本を使って、24時間以上のガスの供給を可能にした。

osakagas1_sj.jpg 図2 葺合ビルに導入した主な設備。出典:大阪ガス

 BCP対応の機能の1つとして、停電が発生した時に各設備を効率よく使えるように、発電量などをグラフで見える化するシステムも導入した。ガスヒートポンプと太陽光による発電量やLPGボンベの残時間を予測しながら、照明の利用可能状態などを表示することができる(図3)。

osakagas2_sj.jpg 図3 BCP発動時のエネルギー見える化の画面。出典:大阪ガス

 事業を継続するうえでは、空調や照明、パソコンや通信機器を、可能な限り長く使える状態に保つことが重要になる。そのために執務室の天井に画像処理センサーを取り付けて、室内の人数をもとに空調と照明を制御できるようにした(図4)。人数に応じた最適なエネルギー消費量を割り出し、空調の設定温度を変更したり照明を消灯したりすることができる。

osakagas3_sj.jpg 図4 画像処理センサーによる空調・照明制御の仕組み。出典:大阪ガス

 さらにガスヒートポンプの排熱を利用できる「デシカント空調システム」も備えている。この空調システムは外気を除湿して冷気を発生させる仕組みで、ガスヒートポンプの駆動部から発生する排熱を除湿に利用する(図5)。排熱で除湿できるためにガスの消費量が少なくて済む。

osakagas4_sj.jpg 図5 排熱を利用した「デシカント空調システム」。出典:大阪ガス

 大阪ガスは各種の省エネ設備を組み合わせて、2013年12月〜2014年1月の2カ月間にビル内で試運転を実施した。その実績値を一般のオフィスビルの平均値と比較した結果、エネルギーの消費量が約40%削減できることを確認した。2月からは本格的な運用体制に移行して効果を検証中だ。自社ビルの実績を生かして、企業や自治体にBCP対応の設備を普及させていく。

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