省エネ型クラウドサービスへ移行すれば補助金、中小企業に最高1500万円エネルギー管理

経済産業省は中小企業を主な対象にデータセンターによるクラウドサービスの利用を促進していく。企業の情報システムを省エネ型のクラウドサービスへ移行する費用に対して補助金を交付する。補助額は中小企業の場合で1件あたり最高1500万円になる。本日6月16日から申請の受付を開始した。

» 2014年06月16日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 オフィスで大量の電力を消費する機器の1つに情報システムのサーバーがある。熱を発生して空調の電力使用量も増やしてしまうことから、サーバーや関連機器を外部のデータセンターへ移行して節電を図る企業が増えてきた。経済産業省は2014年度の予算で「データセンターを利用したクラウド化支援事業」を実施する。中小企業を対象に補助金を交付して、クラウドサービスへの移行を促進する方針だ。

 補助金の対象になる移行パターンは2種類ある。1つは企業が社内のサーバー類を廃止してクラウドサービスへ移行する場合で、もう1つは企業がデータセンターに委託して運用している自社専用のサーバー類を廃止して移行するケースだ(図1)。いずれのパターンでもデータセンターの機器を他社と共用する形になるため、1社あたりの電力使用量が少なくて済む。

図1 クラウドサービスへ移行する2つのパターン。出典:経済産業省

 この補助金制度を運営する「環境共創イニシアチブ(SII)」は4月からデータセンターの公募を開始して、すでに18社の41カ所にあるデータセンターを登録した(2014年6月10日時点)。これらのデータセンターが提供するクラウドサービスへ移行して現在よりも電力使用量を削減できる場合に補助金を交付する。

 補助金の対象になる経費には、移行作業の設計・開発費のほか、移行に必要な物品・サービス費を含めることができる。補助率は3分の1以内で、上限は1500万円である。中小企業基本法で定められた資本金と従業員数の基準を満たす必要があるが、該当しない場合でも5分の1までの補助金を受けることが可能だ。申請は6月16日から11月28日まで受け付ける。

 補助金を申請するためには、クラウドサービスへ移行して電力使用量を削減できることを示す必要がある。サーバーなどのICT機器が消費する電力量だけではなくて、サーバー類を設置した場所の空調や照明などの消費電力量も評価の対象に加える(図2)。原則として1年間の実績値をもとに、データセンターから提供される移行後の想定値と比較する。

図2 クラウドサービスによる電力使用量の削減イメージ。出典:環境共創イニシアチブ

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