電気代を「60%削減」、コンビニで15種類の技術が光るスマートショップ(2/2 ページ)

» 2014年11月12日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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断熱・遮熱技術に工夫あり

 図2で赤く示した建物の断熱・遮熱性能向上に役立つ技術は5つある。このうち「店舗前面ガラスの二重化(ダブルスキン)」(技術1)は凝った仕組みを採る。「店舗入り口側にペアガラスフロントサッシを設け、さらに2重にした。その間に店舗内で暖まった(または冷やされた)空気を通じることで、断熱性をより高めた」(ローソン)。

 「テントによる外壁面の二重化」(技術2)は、店舗の南外壁に施された工夫だ(図3)。外壁の外側に白色のテントを張ることで直射日光を遮る仕組みだ。店舗内への熱の侵入を防ぐ効果がある。

図3 テントによる外壁面の二重化(クリックで拡大) 縦方向に張った白い布が太陽光を反射する。 出典:ローソン

 この他、太陽電池モジュールの設置による屋根の二重化(技術3)や壁面緑化(技術4)、断熱性能の向上(技術5)などを導入した。技術5は外壁や屋根に用いる断熱材の量を増やした形だ。

自然エネルギーは「太陽光+自動車」と「地中熱」

 自然エネルギー利用では6種類の技術を採用した。まずは「太陽光発電システム&蓄電池」(技術11)だ。太陽光発電システムと蓄電池システムを協調動作させる。

 「太陽光発電では屋根上に17kW(の太陽電池モジュール)を(水平に)配置した。蓄電池の容量は9.9kWhだ。これはプリウス10台分の蓄電池である」(ローソン)。今回、流通業界で初めて、トヨタタービンアンドシステムが扱う蓄電池「プリウスリユースバッテリー」を採用したという(関連記事)。

 地中熱の利用も重視している。まずは「地中熱を利用した空調機」(技術7)だ。年間を通じてほぼ17度に保たれている地中に空調機の冷媒を通じ、冬季、夏季を通じて空調コストを削減する。「蓄熱式放射パネル」(技術8)は技術7と同じ仕組みを使う。蓄熱材付きパネルに地中熱を吸収した冷媒を流すことで、パネルから熱を放射できるというもの。

 「アースチューブ」(技術9)も地中熱を使うが、以上2つの技術とは独立している。店舗外の空気を取り入れる際に地中の配管(アースチューブ)を経由させ、温度を上げ(下げ)、それをデシカント空調機(技術13)に通じるというもの。

 換気に必要なエネルギーを0に近づける技術も2つある。「自然換気空調システム」(技術6)では、入り口前の窓と裏側の窓を連動して開閉することで、自然風を積極的に取り入れる。同社の「人工知能制御(EMS)」(技術15)が各所に配置したセンサーから店舗内外の環境情報を集め、自動的に窓を開閉する。

 もう1つは「重力換気システム」(技術10)だ。ローソンのマークを掲げる柱(ポールサイン)の内部に換気用の配管を通す。すると柱内部の温度差と高低差による圧力差で、電力を使わずに洗面所から換気できるという仕組みだ。

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