水力発電の供給先を新電力2社へ変更、新潟県の売電収入が96億円も増加電力供給サービス

新潟県の企業局は11カ所ある水力発電所の電力供給先を東北電力から新電力2社へ切り替える。供給期間は2015年4月から2年間で、売電収入は総額177億円にのぼる。これまで東北電力に売電していた単価と比べて2倍以上になり、2年間で96億円も収入が増える見込みだ。

» 2014年12月22日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 新たに電力の供給先に決まったのは、新電力の日本テクノと日本ロジテック協同組合の2社である。新潟県の企業局が実施した一般競争入札の結果、最も高い価格を提示した両社が選ばれた。

 新潟県営の水力発電所は現在12カ所ある(図1)。このうち固定価格買取制度の適用を受ける小水力発電の1カ所を除く11カ所を対象に、2つのグループに分けて入札を実施した。売電期間は2015年4月1日から2017年3月31日までの2年間である。

図1 新潟県の企業局が運営する発電所や水道施設(青字が運転中の水力発電所)。出典:新潟県企業局

 1つ目のグループは県の北部にある「三面(みおもて)発電所」(発電能力3万kW、図2)など3カ所で、年間の発電量は約3億4000万kWhに達する。6社が入札した結果、日本テクノが1kWhあたり16.48円(税抜き、以下同様)で落札した。これまでは東北電力が7.46円で買い取っていたことから、2倍以上の単価になる。

図2 「三面発電所」(ダムの右下に建屋がある)。出典:新潟県企業局

 2つ目のグループは残る8カ所の水力発電所で、年間の発電量は約2億kWhを見込む。7社が入札して、日本ロジテック協同組合が1kWhあたり15.90円で落札した。これも現在の東北電力の単価と比べて2倍以上になる。

 11カ所の売電額を合計すると年間に約88〜89億円、2年間では約177億円にのぼる。従来の東北電力の単価を適用した場合と比べて、1年間に約48億円の増収になる。新潟県は収入の増加分を福祉事業の拡充などにあてる方針だ。

 落札した新電力2社は全国各地で供給力の拡大を積極的に進めている。日本テクノは2012年に発電能力が11万kWの天然ガス発電所を千葉県で運転開始したのに続き、新潟県でも7万kW級の天然ガス発電所を2015年の春に稼働させる計画である。

 一方の日本ロジテック協同組合は再生可能エネルギーによる電力を集中的に増やしている。岩手県の企業局が2014年11月に運転を開始したメガソーラーの電力にプレミアムを付けて高く買い取るほか、佐賀県ではグループ企業が建設中の5万kWのバイオマス発電所から供給を受ける予定だ。

 2016年4月に始まる電力小売の全面自由化に向けて、新電力の各社は供給力の増強を急ぐ必要がある。しかも電力会社より安い単価で販売することが求められている。高く買い取った電力を含めて低価格で販売しても利益を出せるように、コスト競争力の勝負になる。

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