ニュース
» 2015年01月20日 11時00分 UPDATE

法制度・規制:太陽光発電のコスト構造に変化の兆し、システム導入費が下がらず

固定価格買取制度が始まってから着実に低下してきた太陽光発電のコストだが、その構造に変化が表れてきた。発電システムの導入費が想定ほど下がらず、2015年度はほぼ横ばいの見通しだ。一方で運転開始後の維持費が下がってきたほか、売電収入に影響する設備利用率が14%に高まっている。

[石田雅也,スマートジャパン]

速報:「太陽光発電の買取価格は2015年度も下がる、非住宅用は26円が有力」

 毎年度の買取価格を決める判断の根拠になるのは、事業者が発電に必要とするコストである。コストには2種類あって、発電システムの導入費のように運転開始前に必要な「資本費」と、人件費など運転開始後にかかる「運転維持費」に分かれる。

 固定価格買取制度の認定を受けて2014年に運転を開始した非住宅用の太陽光発電設備の実績データによると、資本費の大部分を占めるのがシステム費用で、出力1kWあたり30万円前後である(図1)。発電設備の規模が小さいほど平均単価は高くなるが、土地造成費や接続費用を含めると差は小さくなってきた。

solar1_sj.jpg 図1 非住宅用の太陽光発電のコスト構造(2014年)。出典:資源エネルギー庁

 非住宅用の太陽光発電のうち出力の小さい50kW未満のシステム費用が低下する一方で、50kW以上のシステム費用がほとんど下がっていないからだ。50kW未満では1年間に4.3万円も安くなったのに対して、50kW以上は0.4万〜1.7万円の低下にとどまり、全体では1kWあたり30万円前後の水準を保った状態にある(図2)。

solar7_sj.jpg 図2 システム費用の平均額の変動(運転を開始した時期に分けて集計)。出典:資源エネルギー庁

 本来はもっと下がる見込みで、2014年度の買取価格を決めた時の想定値は27.5万円だった。実際には想定値よりも1万円以上高くなっていることから、2015年度の想定値は29万円に設定する見通しである。

 これに対して運転維持費は想定値を下回っている。1kWあたり年間に0.8万円の費用がかかる想定だったところ、実際には平均値で0.6万円、中央値をとると0.3万円で済んでいる(図3)。仮に年間で0.1万円違うと、買取期間の20年間の累計で2万円の差になる。政府の原案では2015年度の運転維持費を0.6万円に下げて検討する方針だ。

solar3_sj.jpg 図3 運転維持費の分布(2014年1月〜12月の実績)。出典:資源エネルギー庁

 過去1年間に資本費と運転維持費が変化した結果、発電設備の規模によるコストの差は小さくなった。政府は2014年度の買取価格を決定する際に、相対的にコストが高い出力500kW未満を別の区分に分離する案も検討したが、さほどの違いはないとの判断で見送った経緯がある。さらに格差が小さくなった2015年度は引き続いて、出力10kW以上の太陽光発電を一律の買取価格で設定することが確実である。

 資本費と運転維持費のほかにも、買取価格に影響を与える指標がある。発電システムの出力に対する年間の発電量を計算した「設備利用率」で、発電設備の効率を表す。この設備利用率にも変化が見られる。2014年度は13%の想定だったが、直近の実績値では14%に上昇している(図4)。

solar6_sj.jpg 図4 設備利用率の変化。出典:資源エネルギー庁

 特に出力が1000kW(1MW=メガワット)以上のメガソーラーでは15%に達する。それだけ発電量が増加して、売電収入も増えることになる。事業者が太陽光パネルの設置角度や設置方位を最適化して発電効率を高めたほか、遠隔監視システムの導入などによる安定稼働の体制を強化したことが要因に挙げられる。

 政府は2015年度の買取価格を決める前提として、設備利用率を14%に引き上げる方針だ。ただし年間の日射量が少ない地域では14%の設備利用率を発揮することは簡単ではない。2015年度以降は太陽光発電を実施する地域が限られてくる可能性がある。その分の資本が他の再生可能エネルギーに振り向けられることを期待したい。

テーマ別記事一覧

 太陽光   法制度・規制 


Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.