特集
» 2015年04月16日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:再生エネ導入量全国1位の福岡県、躍進を支える「地方主導」の力 (1/4)

再生可能エネルギーの導入量で全国1位の実績を誇る福岡県。国内でもエネルギー政策に関して先進的な取り組みを進めてきた背景について、福岡県 エネルギー政策室の丸林啓太氏に聞いた。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 2011年3月11日に起きた東日本大震災以降、エネルギーに関するさまざまな問題が表面化することとなった。それに伴い日本の各地域で太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入に加え、水素などの次世代エネルギーの活用に向けた取り組みが加速しつつある。その中でもエネルギー政策に関していち早く取り組んできたのが福岡県だ。

 福岡県は固定価格買取制度(FIT)の認定を受けた発電設備のうち、2014年12月までに運転を開始した設備の規模で全国47都道府県中1位の実績を誇る。さらに次世代エネルギーとして期待される水素の活用に関しても、国内で最も早く取り組んできた県でもある。こうした福岡県の取り組みの背景について、福岡県 企画・地域振興部 エネルギー政策室 企画班の技術主査を務める丸林啓太氏に聞いた。

rk_150416_fukuoka01.jpg 福岡県 企画・地域振興部 エネルギー政策室 企画班の技術主査を務める丸林啓太氏

エネルギーとの深い関わりを持つ地域特性を活用

スマートジャパン 福岡県は再生可能エネルギーの導入量で全国1位となりました。また2004年に産学連携の組織である「福岡水素エネルギー戦略会議」を立ちあげ、「福岡水素タウン」や「水素ハイウェイ」などの社会実証実験も積極的に行うなど、エネルギー政策に関して全国の自治体の中でも先進的な取り組みを進めています(関連記事)。福岡県がこうしたエネルギー政策を積極的に推進している背景にはどういった理由があるのでしょうか。

丸林氏 福岡県は明治から昭和にかけて石炭が豊富に採れた地域であり、例えば筑豊地区ではこうした地域の特色を背景に八幡製鉄所が設立されています。つまり昔からエネルギーとの関わりが深い地域なんです。だからエネルギーに関する大学の研究機関も集積していますし、北九州地方を中心に製造企業も多く集まっている。こうした福岡県の地域としての特性や強みを活用しない手はないということで、産学連携の体制でエネルギー問題に対していち早く取り組んできたという背景があります。

スマートジャパン 特に水素エネルギーに関していち早く注力し始めたいきさつについて教えてください。

丸林氏 水素エネルギーに注力し始めた背景には、九州大学(福岡県福岡市)の存在が大きく影響しています。九州大学は水素に関して世界でも先端の研究を進めてきた実績があり、「水素エネルギー国際研究センター」(図1)や、産業技術総合研究所が2006年に九州大学内に設立した「水素材料先端科学研究センター」(図2)など、県内にさまざまな研究施設を備えています。こうした九州大学の水素に関する知的拠点を活用して、産学連携の体制で水素エネルギーに関する新たな産業を育成していこうと考えました。

rk_150416_fukuoka02.jpgrk_150416_fukuoka03.jpg 図1・2「水素エネルギー国際研究センター」と「水素材料先端科学研究センター」出典:福岡県

 そこで福岡県内で水素エネルギー産業を育成することを目的に、2004年8月に立ち上げたのが福岡水素エネルギー戦略会議です。「福岡水素戦略」(図3)として、水素エネルギーに関する研究開発や社会実証、人材育成などについて産学連携の体制で包括的に取り組んでいこうという狙いです。同会議には2015年3月時点で、600社以上の企業に加えて大学機関などの研究者が100人以上参加しています。

rk_150416_fukuoka04.jpg 図3 「福岡水素戦略」の全体像 出典:福岡水素エネルギー戦略会議
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.