「水素社会」実現へ、パナソニックが普及を目指す3つの技術蓄電・発電機器(1/4 ページ)

パナソニックは2015年7月3日、「水素社会実現」に向けた同社の取り組みについて発表。水素の「製造」「貯蔵」「利用」のそれぞれの場面において技術開発を進め、普及に貢献していく方針を示した。

» 2015年07月06日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 クリーンな次世代のエネルギー源として「水素」への注目が高まっている。経済産業省は2014年6月に水素社会実現に向けたロードマップとして「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を発表(図1)。3つのフェーズに分けた水素社会実現に向けた取り組みを紹介している(関連記事)。また、この計画に合わせて2020年の東京オリンピック・パラリンピックを「水素社会の見本市」とし、世界に発信しようという取り組みも進んでいる(関連記事)。

photo 図1:「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の全体計画(クリックで拡大)※出典:経済産業省

 政府の動きに対し、日本企業も多くの企業が水素社会実現に向けた取り組みを発表。例えば、2015年4月には東芝が地産地象型のエネルギー供給システムと水素サプライチェーンへの取り組みなどを紹介している(関連記事)。

 パナソニックの今回の発表も、これらの動きに対して同社がどのような強みを発揮して取り組んでいくのかを示したものだ。

既に水素による電力は10万世帯以上で利用

photo パナソニック 専務取締役 技術担当 宮部義幸氏

 パナソニックの水素への取り組みの中で特徴的なのが、“既に”多くの販売実績を持っているということだろう。パナソニック 専務取締役 技術担当 宮部義幸氏は「水素というと一見新しい技術のように見えるが、当社は既に15年以上の研究実績がある。さらに2009年には『エネファーム』の導入を開始しており、現在は第4世代機を投入。既に実用化して多くの実績を持っているという点が強みだ」と述べている。

 家庭用燃料電池であるエネファームは、都市ガスから作った水素を活用する発電機だ。まず都市ガスから燃料処理機で水素を取り出し、燃料電池で水素から発電を行うことで、熱と電気を取り出すという仕組みになる(図2)。

photo 図2:家庭用燃料電池「エネファーム」の仕組み(クリックで拡大)※出典:パナソニック

 同社では、1999年から基礎技術開発を進め、2005年頃から大規模実証を推進。2009年に世界で初めて、家庭用燃料電池の一般販売を開始した。補助金の支援などもあり、市場は急拡大しており、2014年9月には業界全体で累計販売台数は10万台を突破。既に10万世帯が、水素による電気を使って生活しているということになる(図3)。

photo 図3:エネファームの日本市場における普及台数の推移と補助金単価の推移(クリックで拡大)※出典:パナソニック
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