次世代エネルギーを事業の中核へ、覚悟を決めたトヨタの環境戦略(後編)電気自動車(2/3 ページ)

» 2015年10月21日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

2020年までに半分、2030年には3分の1に

 実際の工場における再生可能エネルギーや水素の活用は、2020年以降に本格化していく予定だ。これについては後述する。まずトヨタが着手するのは先述した1つ目の取り組みとなる低CO2生産技術の開発・導入や、生産効率の改善だ。トヨタはこの取り組みで新設工場における自動車生産1台あたりのCO2排出量を、2001年比で2020年に約半減、2030年には3分の1にすることを目指す(図2)。

図2 生産1台当たりのCO排出量削減計画(クリックで拡大)出典:トヨタ自動車

 まず低CO2生産技術の開発では、自動車のボディー塗装や、鋳造、機械加工、そして今後PHEVやEVの開発とともに生産数が拡大する電池製造など、CO2排出比率の大きい工程に関しての技術開発に取り組む。

 例えば鋳造工程においては、設備をコンパクトにする技術や部品成型の工程で必要な熱を抑える技術によって省電力化を図り、CO2排出量を40%削減できるめどがたっているという。こうした技術開発や設備のシンプル・スリム化および余剰エネルギーの回収などを、CO2排出量の多い工程を中心に進めていく。

 この他の全工程においても、トヨタ生産方式で有名な生産現場における“カイゼン”活動に引き続き注力することで生産の「ムダ、ムラ、ムリ」を減らしていく。さらにモーターなどの動力を使用せずに加工や搬送を行う「からくり」を生産設備に活用し、生産工程における省エネルギー化を進める。

 トヨタは3年振りに新工場の建設を解禁している。2019年に稼働予定のメキシコ新工場ではこうした取り組みにより、生産開始時の生産1台当たりのCO2排出量を2001年比40%削減を実現するという。こうした新工場や新生産ラインなど、今後建設する新設備に関しても同様の取り組みを展開していく。

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