すでに京セラTCLソーラーは兵庫県にある農業用ため池2カ所で水上式のメガソーラーを運転している(図3)。2カ所を合わせた発電能力は2.9MWで、2015年3月に運転を開始した。このケースでは着工から完成まで6カ月で済んでいる。
新たに建設する山倉ダムの水上メガソーラーは5倍近い規模になるため、建設期間も約2年かかる見通しだ。水面に浮かべる架台は兵庫県のメガソーラーでも採用したフランス製を使用する。太陽光パネルは同じ京セラ製だが、1枚あたりの容量は255Wタイプから270Wタイプへグレードアップする。
国内では埼玉県の桶川市で2013年7月に運転を開始した「ソーラーオンザウォーター桶川」が初めての水上式メガソーラーである(図4)。工業団地の中にある調整池の水面に太陽光パネルを設置した。発電能力は1.2MWである。
現在までに稼働した水上式のメガソーラーでは、埼玉県の川島町で2015年10月に運転を開始した「川島太陽と自然のめぐみソーラーパーク」が最大だ(図5)。農業用水を供給する貯水池の水面を利用して、7.5MWの発電能力がある。現時点では世界最大の水上式メガソーラーである。
水上式のメガソーラーは陸上と比べて整地の必要がなく、太陽光パネルの温度上昇を抑えることができるために発電効率の低下を防ぐ効果もある。その代わりに太陽光パネルの設置工事に手間がかかるほか、水面が揺れて太陽光を受けるパネルの角度が変動してしまう難点がある。
平坦で広い土地が限られる日本で太陽光発電の導入量を拡大するためには、水上式のメガソーラーは有効な解決策になる。今後さらに導入事例が増えれば、効率的な設置方法の開発も進んでいく。
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