MIRAIの燃料電池をフォークリフトにも、空港内の貨物を水素で運ぶ:電気自動車(2/2 ページ)
関西国際空港では2017年3月まで燃料電池フォークリフトの実証運用を続ける予定だ。空港内で国際貨物を取り扱うANAグループ(ANA関西空港)とJALグループ(日航関西エアカーゴ・システム)の協力を仰ぎながら、従来のエンジンタイプや電動タイプのフォークリフトと比べた作業性の改善効果やCO2(二酸化炭素)の削減効果を検証する。
実証運用を通じて安全面と環境面の効果を確認したうえで、空港内のフォークリフトを燃料電池タイプに切り替えていく。年間に数十台ずつ導入して、2025年をめどに数百台にのぼる全車両を燃料電池フォークリフトで統一する計画だ。合わせて液化水素の貯蔵施設(タンク)を整備して大量導入に備える(図4)。
図4 関西国際空港の「水素グリッドプロジェクト」の全体像と燃料電池フォークリフトの実用化イメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:新関西国際空港
燃料電池フォークリフトの導入と並行して、水素ステーションの整備と燃料電池車・燃料電池バスの導入も進めていく。2015年4月から空港内の維持作業にMIRAIを利用し始めたのに続き、2016年1月には日本の空港で初めて水素ステーションを開設した(図5)。さらに2016年度中に大阪国際空港とのあいだで燃料電池バスを運行する計画もある。
図5 「イワタニ水素ステーション関西国際空港」の全景(上)、水素圧縮機(左下)、水素ディスペンサー(右下)。出典:岩谷産業
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「環境先進空港」を目指す関西国際空港で水素エネルギーの導入が始まる。2016年度までの3年間に、燃料電池フォークリフトや水素ステーションを空港内に配備するほか、大阪国際空港と直結するバスにも燃料電池車を採用する。太陽光や風力と組み合わせた水素発電システムも検討中だ。
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水素社会の早期実現に向けて商用水素ステーションの整備に取り組んでいる岩谷産業は、このほど空港施設に隣接した水素ステーションとしては日本初となる「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」を開設した。
- 水素エネルギー元年、街も工場も脱・石油が加速
トヨタ自動車の「MIRAI」に続いて、ホンダも2015年度中に燃料電池車を国内で発売する。燃料の水素を供給するステーションが街に広がり、工場では水素の製造技術が進化していく。再生可能エネルギーから水素を作って貯蔵する取り組みも始まり、「水素発電」の実用化が目前に迫る。
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