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過熱する「人間 vs. AI」、解決は“将棋AI”にあり? 開発元・HEROZがつかんだ、企業へのAI導入のコツ(3/3 ページ)

» 2025年01月27日 12時00分 公開
[島田拓ITmedia]
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“次の一手”は業界知識?

 竹中工務店とのプロジェクトに携わった後、現在は主にAIチャットとして活用できるサービス「HEROZ ASK」の提供などを手掛けているという関さん。将棋は「祖業」として続けていくとしつつ、今後さらに企業向けのAIサービスを強化していきたいと語る。そんななか、HEROZが力を入れているのは「業界知見がある人」の採用だ。

関享太CSO

 「(竹中工務店とのプロジェクトを始めた)当時は私も含めて一級建築士の資格を持っている人なんて誰もいなかったけど、今は2人いる。AIは頑張ってキャッチアップしてもらっている」(関さん)

 背景にあるのは、米国のテック企業であるOpenAIやGoogleなどが提供するAIモデルの飛躍的な成長と、その“ローカライズ合戦”になりつつある日本市場の現状だ。これに対し、関さんは「差別化がどんどん難しくなってきている」と指摘する。

 「短期的にはUXを高めていく」といった差別化もあるというが、「中長期的にはなかなかそれだけでは難しい」と関さん。そこで、中長期的な差別化として検討しているのが、その業界に詳しいからこそ開発できるようなAIサービスの開発だ。

 「建設業に詳しいメンバーも増えてきた。例えば、建設業の法律を検索しやすくするようなサービスってまだ何もない。そういったものを提供していきたい」(関さん)

 HEROZは、建設のほかにも、金融やゲーム、エンタメといった業界にも注力している。自律的にタスクを分解して業務を実行する「AIエージェント」なども視野に入れ、それぞれの業界に対して企業向けAIサービスを提供していくという。

【訂正履歴:2025年1月28日午後5時】記事掲載当初「関享太CSO」「主にAIチャットbotとして活用できるサービス『HEROZ ASK』」との記載がありましたが、正しくは「Generative AI SaaS Dev Division担当執行役員を務める関享太さん」「主にAIチャットとして活用できるサービス『HEROZ ASK』」でした。お詫びして訂正します。



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