AIプレイヤーの学習には、人間のプレイヤーたちのオンライン対戦データを活用した。このデータは、元は対戦のリプレイ動画を作成するためのもので、ユーザーのキー入力情報が含まれている。学習では、特定のキーの入力情報に、その際のキャラの体力や位置といったデータをひも付け。各シチュエーションに対する入力キーを、複数の対戦データから抽出してAIに学習させ、キャラの動きを調整した。
安原氏は、この調整について「『強さよりもらしさ』を大切に作った」と語る。各シチュエーションにおいて、勝つために最善の入力ではなく、人間の“うっかりミス”を含めた実際の入力を反映。ユーザーと実力の拮抗したプレイヤーの動きの再現を図った。
また、フィードバック機能についても「勝ち負けより、昨日の自分より強くなれたかを伝える」ことを重視した。勝ちにつながる可能性の高い「ガード」「対空」「崩し」などの操作を評価項目に設定。できていた操作を褒め、できなかった操作は次の対戦に向けた課題という形でアドバイスする。褒める内容は、ユーザーのランクごとに異なるという。
安原氏は「Vライバルによって、対人戦へのハードルを、自身の程良い成長と向き合いながら楽しむ体験に変えることができた」と振り返る。加えて「これは開発者寄りの目線」として、オンライン対戦という既にあるシステムを中心に開発したことにも言及。「比較的コストを抑えながら機能を実現できた」と明かした。
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