プリンタ、ファクスも「親機と子機」――キヤノンが目指す複合機の“進化形”“最新オフィス機器”動向調査

「プリンタにスキャナやコピーがくっついただけ」――複合機に対し、そんなイメージを抱いている人もいるかもしれないが、最新機種は一味違う。“親機と子機”で機能を共有したり、PCを使わずに文書を共有したりできるのだ。

» 2009年07月13日 20時53分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 オフィスの中央に複合機を置いている企業は多いが、人数に対して台数が少ないと印刷待ちの行列ができてしまうことも少なくないし、「毎回歩いて印刷物を取りに行くのが面倒だ」という声もよく聞く。

 こんな場合、チームの“島”ごとに置ける低価格でコンパクトな複合機を何台も導入するという手もあるが、すると今度はファクス機能を標準搭載していない機種ばかりになってしまい、結局遠くのファクス付きの機種まで歩いていく羽目になった、なんて羽目に陥ることもある。

 キヤノンが7月13日に発表した複合機の新ブランド「imageRUNNER ADVANCE(イメージランナー・アドバンス)」シリーズには、こうした問題を解決するための“親子連係”なる機能を搭載しているという。記者向け発表会で、キヤノンが考える次世代複合機のあり方を聞いてきた。

imageRUNNER ADVANCEシリーズ(178.5万円〜519万7500円、9月下旬から順次発売)の前に立つキヤノンの内田恒二社長(左)とキヤノンマーケティングジャパンの川崎正己社長(右)

“親機”のファクス機能を“子機”でも利用可能に

 キヤノンマーケティングジャパンの川崎正己社長は、国内のプリンタ複合機市場を大きく3つのジャンルに分けて分析する。

 「最も規模が大きい“オフィス市場”は、今後は機器の集約化による台数減少が進むが、1台あたりの出力枚数は増加するだろう。基幹システムからの“帳票印刷市場”は、システムのオープン化の流れにより、専用出力機での集中出力から、オフィス内での出力を含めた分散出力の傾向が高まる。また、“デジタル商業印刷市場”では、小ロット、オンデマンド印刷の需要が高まる」(川崎社長)


 キヤノンでは、SOHO向けにコンパクトなオールインワン型複合機などをそろえる「Satera」シリーズや、デジタル商業印刷向けの「imagePRESS」シリーズなどを展開しているが、今後は市場の変化に合わせて「imageRUNNER ADVANCEを核として、3つの市場すべてをカバーするソリューションを提供する」という。

 このうち、コスト意識が高まるオフィス市場向けの機能として新機種に搭載したのが、ネットワークで接続した機器間で機能を共有できる“親子連係”機能だ。例えば、ファクス機能を備えた“親機”に当たる複合機が1台あれば、単体ではファクス機能を持たない“子機”の複合機でも、ネットワーク経由でファクスの送受信が行える。送信先のリストなども共有できるため、アドレスの登録や変更作業が1度で済むというわけだ。

 また、ファイルサーバの導入や管理に負担を感じている中堅・中小企業をサポートする機能として、「アドバンスドボックス」も新たに搭載した。複合機本体のHDDにスキャンした紙文書データなどを保存することで、PCレスでオフィス文書を共有できる。複合機同士を連係させることで、例えば別のフロアに設置している複合機のデータを印刷するといった操作も可能だ。「これまでは適性配置による導入台数の削減を主に提案していたが、これからは機能レベルでのTCO(Total Cost of Ownership)を提案していく」(川崎社長)


 12月には、中小企業向けにITシステムの構築と運用を代行するSaaS形式のサービス「HOME」の提供を開始する。「中小企業の課題は、ITを活用した経営の革新。しかし初期投資とシステム管理者の確保という面ではまだまだ壁がある。ワンストップのサービスを提供することでこれらの課題に応えられる」(川崎社長)


キヤノンの中岡正喜本部長

 「(従来機の)imageRUNNERシリーズを発表した2000年頃から、次世代の複合機とは何なのかをずっと考え続けてきたが、今回ようやくそれを具体化できたと思う」(キヤノン映像事務機事業本部の中岡正喜本部長)

 最近は、複合機からグループウェアに直接アクセスしたりPCなしで給与明細を印刷したりといった操作も可能になっているし、ユニークなところではWiiと接続してオフィスで健康管理するといった試みも進められている。

 「プリンタにスキャナやコピーがくっついただけ」――複合機がそんなイメージで語られる時代は終わり、PCに依存することのない「複合機を中心とした働き方」が一般的になる時代が、そう遠くない未来にやってくるのかもしれない。

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