ではどうすれば、第II領域の活動に注力することができるのでしょうか?
私たちがいくら事前にやるべきことを決めていても、外からの依頼が減るわけではありません。
このような状況の中、自分にとって重要なことを成し遂げていくには、数々の誘惑や降りかかってくる些細な出来事に対し、「NO」という勇気が必要になります。
それにはまず、自分にとって最も優先すべきことが何なのか、しっかりと決めておく必要があります。そして、それ以外のことを望まれたときは、気持ちよく、笑顔で率直に「NO」といいましょう。
ためらうことなく、「NO」といえるようになる秘訣は、自分の中でさらに強い、燃えるような大きな「YES」を持つことです。
たとえその緊急なものが「良い」ものであっても、それを許してしまえば、あなたにとっての「最良」のこと、他の誰でもないあなたが行うべき貢献ができなくなります。この意味で、「最良」の敵は「良い」であるともいえるでしょう。
フランクリン・コヴィー社の研修に参加したビジネス・パーソンが「NO」ということの大切さを学び、ビジネスに活用した例を以下にご紹介しましょう。
彼女は時間管理ワークショップに参加した後、重要事項にフォーカスすることを決意し、自分の優先順位を決め、計画を立てました。
ある日、職場でのこと。上司が近づいてきて彼女のデスクに書類を積み上げ、こういいました。「これをすぐに仕上げてほしい。緊急なんだ。すぐ取りかかってくれ」
彼女は勇気を出して説明しました。「ちょっとよろしいですか。今、私はこれだけの案件を抱えています。すべて部長からいいつかっている仕事です。このABCは、緊急、重要、保留の3段階の優先順位を表しています。今いただいた仕事が、このリストのどれよりも重要なら優先させますが、どういたしましょう?」
上司はリストを眺め、その仕事よりもっとずっと重要度の高い案件を4つ見つけました。
「君のいう通りだ。リストにはこれよりもっと重要な仕事があるね。この仕事はいつまでなら仕上げられそうかな?」
「木曜日です」
「いいだろう」
月曜日のことだったそうです。彼女はとても嬉しくなって、私たちに手紙で知らせてくれました。
連載「『7つの習慣』セルフ・スタディ・ブック 第三の習慣」、いかがだったでしょうか? 誠 Biz.IDでの連載は今回でいったん終了です。さらに詳しい内容をご覧になりたい方は、書籍で続きをお楽しみください。
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