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» 2013年06月19日 10時00分 公開

なぜ、人は悩むのか? プラス思考が難しい理由仕事に負けない、頭と心の整理術(2/2 ページ)

[竹内義晴,Business Media 誠]
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信念・価値観の作られ方

 ネガティブな気持ちを生むのが信念・価値観であるならば、私たちの信念・価値観はどのように作られるのでしょうか。私はその成り立ちを、とてもシンプルに考えています。

 「私たちの体が、これまで食べてきたものと飲んできたものでできているように、私たちの信念・価値観も、これまでに触れてきた情報によって作られている」「これまでに触れてきた情報」とは、例えば次のようなものです。

  • 「大学を出て大きな会社に入らなければ安心して暮らせない」という親の言葉
  • 「三十分以内にメールを返信しないと友達じゃない」という友達間のうわさ
  • 「仕事はそんなに甘いもんじゃない」という学校の先生の教え
  • 「社会人は評価がすべてだ」という先輩や上司からのアドバイス
  • 「幸せにはお金が必要だ」というマスコミやインターネットなどの情報
  • 「営業の電話をかけたら相手先から罵倒された」という自分の体験

 このような、私たちが生まれてから今まで触れてきた情報は頭の中のデータベースに格納されていて、信念・価値観を作るベースになっています。これらの情報に基づいて感情や気持ちが生まれているのです。

プラス思考が難しい理由

 しかし無理にプラス思考をするのは、実は難しい事ではないでしょうか?

 私の体験では、頭の中では「ポジティブに考えることが大事だ」と分かっていても、こころがなかなか追い付いてきませんでした。

 プラス思考が難しいのは「一度ネガティブに思った気持ちをなかったことにし、ポジティブにすり替えること」だからです。一度好きになった人をなかなか嫌いになれないように、一度抱いた気持ちをなかったことにするのは難しいですね。

 スポーツの世界では、既に審判が下した判定を覆すのは難しいそうです。信念・価値観とは、私たちが見聞きした出来事に対し、感情をネガティブとするか、ポジティブとするかを判定するルールブックであり、審判です。

 プラス思考とは、ルールブックに基づいて下された審判の判定に「ちょっと待ってください。審判はネガティブと判定しましたが、本当はポジティブなんじゃないですか?」と、判定を覆そうとしている状態です。

 またプラス思考では、ネガティブな気持ちを「考えないようにしよう」としますが、これは、審判に「すみません、この判定、無かったことにできませんか?」とお願いしている状態です。

 既に判定は下されているので、結果を覆すこともなかったことにするのも難しい……。プラス思考のときに起こる「もっとポジティブに考えたい。でも……」という、あのこころの葛藤は、審判と言い争っている状態だったのです。

 (次回、こころを「強く」すると仕事に負ける)

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。


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