スマートフォンでニュースをさくさく読める「SmartNews」。2012年12月のリリースから14カ月で300万DLを突破し、現在も順調にユーザー数を伸ばしている。リリース当初から変えずにこだわってきたポイントなどを聞いた。
スマートフォンを使った情報収集の1つに、ニュースアプリを使う方法がある。これまで紹介してきたAntenna、NewsPicks、Gunosyなどに加えて、代表格の1つといえるのがSmartNewsだ。
「主要なニュースをすき間時間でチェックできる」「さくさく読める」「まるで新聞をめくるような滑らかな動きで操作ができる」――。ソーシャルメディア上で話題になっているコンテンツを効率よくチェックできるSmartNewsのユーザーからは、このような声が聞かれることが多い。
実際にSmartNewsはどのような点を意識して開発されているのだろうか。また、今後どういったマーケティング活動やマネタイズ手法を検討しているのか。開発元のスマートニュース執行役員、藤村厚夫氏に話を聞いた。
SmartNewsを開発していくうえで意識しているポイントは、一般の人が新聞で記事をパラパラと選んで読むような行動をアプリでも実現すること。フリップ(紙をめくるようにページをスライドする)操作でカテゴリを変えながら見出しをチェックしていくことで、何となく今日話題になっているニュースを把握できる。また、表示するニュースはユーザーの属性や行動に基づいてパーソナライズすることなく、広く一般の人が見て気付きを得られるものを目指している。
現状ダウンロード数は300万だが、目標とするのは1桁多い1000万以上。まずは国内ユーザー数を伸ばすことに注力する。その手段として、TVCMなどのマスマーケティングも検討事項の1つではあるが、まずはApp StoreやGoogle Playでのランキング動向も見ながら、アップデートを優先するという。
SmartNewsの主な特徴は、(1)ユーザーインタフェースと、(2)コンテンツをピックアップする仕組みの2点。1については一度使ってみれば分かる通り、アプリを起動すればすぐに使い始められる簡単な操作性だ。パッと見で主要なニュースが分かるよう、フォントや画像の大きさ、タイトルの文字を改行する位置などを機械的に判断している。「Smartモード」と呼ぶオフライン時にもすぐに読めるモードを選択すれば、ユーザーはストレスなく記事を読み進められる。
コンテンツをピックアップする仕組みには、以前「スマホでニュースをさくさく読める『SmartNews』はどんな仕組みでできている?」でも紹介したように、独自のTwitter解析技術を用いている。1日1000万件以上のツイートの中でURLを含むものを抽出し言語判定などでふるいをかけて本数を絞り込むことで、「主要」「エンタメ」「スポーツ」「グルメ」「コラム」「国内」「政治」「経済」「テクノロジー」「国際」といったカテゴリごとに記事を分類し、表示している。
解析にリアルタイム性の高いTwitterを使うことで、ユーザーはその瞬間で話題になっているニュースがチェックできる。藤村氏は、「Twitterには、リツイート(他者のツイートを拡散する行為)があり、ユーザーのシンプルな評価を絶対値で把握できる」という。似たような仕組みにFacebookの「いいね!」もあるが、これを押すユーザーは評価以外の意味を込めて押すことが多い。機械的に話題の記事(リッチコンテンツ)を抽出するには、現時点ではTwitterが最適解というわけだ。
SmartNewsについてよく聞かれるのが、マネタイズ(収益化)のタイミングだ。他のニュースアプリが課金や広告モデルを取る中、SmartNewsについてはマネタイズについてこれまで明言をしていない。
藤村氏は「複雑なことは考えていない」とし、課金や広告モデルなど従来のWebメディアが取ってきた手法を挙げた。どちらか一方の場合もあれば、両方を共存させる場合も考えられる。ただ、いずれも一定以上の規模がない状態で始めてはユーザーの失望にもつながりかねないため、しばらくはビジネスが担保できるまでの規模を確立し、将来的に広告自体のパフォーマンスがよいものを求める方針だ。
SmartNewsは、ユーザーがその仕組みを意識することなく、自然に使い心地のよい操作性を実現しているアプリだ。パラパラとめくって主要なニュースをチェックするだけでもよいし、カテゴリの位置を変えるなどして自分なりの読み方を確立してもいい。現時点では広告などもなく、ユーザーは機械的にピックアップされたコンテンツのみを読める。
今後はマネタイズも含めてどのようなアップデートを図っていくのか。先行するニュースアプリの1つとして注目していきたい。
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