二者択一で選ばれる――日常行動という「情報」に注意:アラフォー起業家の“継続拡大”人脈術
AさんとBさん、どちらを選ぶか――。将来何かあった時の保険のために、人に親切にしようということが言いたいわけではないのだが、普段の行動に気をつけていないと、何かあったときに選んでもらえない。
ある友人が言っていた。どちらか同じ条件で選ばなくてはいけないときに、Aさんからしてもらったことが多いなと思ったらAさんを選ぶし、Bさんにはあんなこともされたな、困ったときだけ頼ってくるな、と思ったら選ばないという話だった。
別に、将来何かあった時の保険のために、人に親切にしようということが言いたいわけではないのだが、普段の行動に気をつけていないと、何かあったときに選んでもらえない。いや、気をつけるというより、相手の立場を普段から考える必要があるということだろう。
例えば『「また会いたい」と思われる人の38のルール』という、最近話題の本には、自分が大量にお酒を飲んだのに割り勘にする人の例が載っていた。本人は「少ないお金でたくさん飲んで得した」と思っても、結局は「せこい人」などと思われてしまって、印象が悪くなってしまう人の事例だ。お金をたくさん払うとまでは行かないまでも、幹事を務めたり、おいしいお店を紹介したり、会場を盛り上げたり――。自分自身だけが「得した」という状況なら、その得を周囲に循環させてみてはどうだろう。
私の体験談では、「みなさんで持参を」と呼びかけたホームパーティーにいつも手ぶらな人、ドタキャンの多い人などは、大事な場面では声をかけなくなってしまった。また、何度も人に借りを作っておきながらも、まだまだお願いごとをしてくる人は、だんだんと離れるようになる。こういう人たちも自分だけが「得している」状態だ。お金で還元しなくともほかの形で得を共有できれば、お互い気持ちのいい関係ができそうなのにもったいない。
ちょっとした「自分だけが得した」ケースは結構ある。ただ何気ない部分で自分だけがお得感をかみしめている時もみんなが見ているものだ。結局こうした普段の行動が、これから何かをするときの将来の「行動」を予測する際の「情報」になるため、普段の行動の見直しも、継続人脈に関係してくるのである。
ただし、ずば抜けた才能を持った人は別だ。なぜならずば抜けた才能はそれだけで周りの人を得な気分にさせるからである。だから奇行があっても、ケチでも、ちゃんとその場面でお声がかかる。でも、もしあなたがそうでないのだったら、自分だけの得を周りにシェアするよう行動していきたいものだ。
著者紹介:加藤恭子(かとう・きょうこ)
IT誌の記者・編集者を経て、米国ナスダック上場IT企業の日本法人にてマーケティング・広報の責任者を歴任。外資系企業ならではの本社へのリポートの方法や、離れた地域にいる国籍の違う同僚とのコミュニケーションを通じて、効率よく実施する仕事のノウハウを高める。現在は、その経験を生かし、IT企業・組込み系システム企業のマーケティング・PR(広報)のコンサルティングを行うビーコミの代表取締役として活動。日本PR協会認定PRプランナー。
日経BP社、翔泳社、アイティメディア、ダイヤモンド社、アスキーなどで連載や記事も寄稿。インターネットを活用したコミュニケーションも研究しており、複数の学会などでブログコミュニケーションやネットPRに関する発表をしているほか、「CGMマーケティング」(伊地知晋一著、ソフトバンククリエイティブ刊)の編集協力も務めた。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。現在は某大学院の博士課程に在籍し、引き続きコミュニケーションを勉強中。
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