ここ最近、5月というのに30℃を超える暑さが続き、一気に日本は真夏のような陽気です。日本も酷暑が当たり前になり、自然環境の変化が人に与える影響も心配されています。特に高層ビルが立ち並ぶ都心においては、アスファルトからの照り返し、緑や水が少ない都心ならではの立地特性から、さらに暑さが倍増します。
クールビズが浸透して以来、夏はネクタイを外す、ジャケットを着用しないといったファッションが当たり前となり、男性でもカジュアルな服装が仕事では当たり前になってきました。この夏の装いが今後はさらに進化していきそうです。
東京都は五輪向けに「かぶる傘」などというものを提案しています。しかし、筆者が今夏に急増すると見ているのは、女性だけのファッションとされていた日傘を男性にも広げた「日傘男子」です。
日傘男子が増える理由。男性も日傘を利用する意味が本当にあるのか。日傘を持っても恥ずかしくはないのかを通し、マーケティングについて考えてみたいと思います。
環境省は5月下旬、同省Webサイトを通じて熱中症対策として男性にも日傘の活用を促す取り組みを始めると発表しました。男性が日傘を活用する効果を伝えるPOPを作り、日本百貨店協会などと連携して全国の百貨店売り場で呼び掛けます。
これまでは、日傘を差すという行為は「女性特有のもの」という印象が圧倒的に強かったと思います。実際、世の中の傘売場に陳列される日傘は、4年ほど前まではほぼ100%女性用でした。女性が夏の日差しや紫外線から肌を守るために利用される商品だったのです。
その日傘を「男性にも!」と環境省が推奨したのです。それほど日本の酷暑による身体への影響が大きくなってきたということです。
環境省は2018年度に全国9自治体と協力して熱中症の危険度を示す「暑さ指数」を調査しています。それによると、日傘を差す場合は差さない場合に比べて1〜3度低くなるとの結果がでています。また、日傘によって汗の量が約17%減ることも判明しました。
特に、千葉市動物公園の調査では日傘を差した場合、WBGT(暑さ指数)測定値が3℃下がって熱中症警戒レベル(表参照)が1段階下がったのです。
環境省が調査に基づいて男性の日傘を推奨するに至ったのは、熱中症で倒れる人が続出しているからです。総務省消防庁によると、18年5月〜9月の熱中症による救急搬送人数は、9万5千人と過去最高でした。
さらに、20年7月〜9月には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。来日するたくさんの外国人観光客や選手、応援に出掛ける日本人が酷暑で倒れないための対策も求められています。猛暑対策で大きなマーケットができ始めているのです。
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