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日本企業のイノベーションを支える気鋭のデザインエンジニアが語る「”BTC型人材”のつくり方」これからの時代に必要な「デザイン経営」(7/7 ページ)

» 2019年11月20日 05時00分 公開
[勝木健太ITmedia]
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デザインへの投資で「4倍の利益」がもたらされる

 このような話をできるだけ多くの経営者に知っていただきたいという思いがあります。去年の5月、経済産業省と特許庁から「デザイン経営」宣言が発表されたのですが、私自身も、コアメンバーとしてその策定に参加しました。この宣言の中では、デザインの効果として、「イノベーション創出」と「ブランド構築」の2種類があると主張されています。そして、デザイン経営に取り組んでいる企業が本当にパフォーマンスを発揮しているのかという話なのですが、こちらのスライド資料をご覧ください。

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 欧米では、デザインへの投資を行う企業のパフォーマンスに関する研究が行われているのですが、上記のように、デザインへの投資を行う企業が高いパフォーマンスを発揮していることが示されています。例えば、British Design Councilは、デザインに投資すると、その4倍の営業利益を得られると発表しています。また、Design Value Indexは、デザインを重視する企業の株価は、S&P500(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している米国の代表的な株価指数)全体と比較して、過去10年間で2.1倍の成長を実現したことを明らかにしています。このデータを見る限りでは、経営者からすれば、デザインに取り組まない理由はないと思います。

 実際、国内においても、スタートアップ企業の経営者たちはデザインに対する深い理解と豊富なボキャブラリーを備えています。例えば、私がサポートしているメルカリの山田進太郎氏やグロービス経営大学院とも関係が深いラクスルの松本恭攝氏などは、「デザインの使いこなし方」について深い理解を備えていらっしゃいます。全てのビジネスパーソンが彼らの水準でデザインを知るべきとは思いませんが、先ほど申し上げた通り、デジタル領域でイノベーションの創出を目指す場合、マネジャークラス以上の方々は、これまで以上にデザインと向き合う必要が出てくるでしょう。

 自身の専門領域を持ちつつ、デザインを学ぶことで、自らの仕事をアップグレードし続けることが大切かと思います。

著者プロフィール

勝木健太(かつき・けんた)

株式会社And Technologies代表取締役。1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング/有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。約1年間にわたり、大手消費財メーカー向けの新規事業/デジタルマーケティング関連プロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。人生100年時代のキャリア形成を考えるメディア「FIND CAREERS」を起点として、「転職Z」「英会話教室Z」「プログラミング教室Z」等の複数の情報サイトを運営。執筆協力実績として、『未来市場 2019-2028(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)』等がある。


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