ここでひどい1LDKの例を挙げてみよう。私が目にした中でもひどいケースは、前回から数字や文言が更新されていない資料がそのまま会議に提出される会議だ。「前と少しも変わっていないじゃないか」と上司が指摘すると、部下は「申し訳ありません。口頭でご報告させていただきます」みたいなことを言ってから、長々と思い付きの言い訳を口にしてみたり、のらりくらりとはぐらかすような言い回しをはじめる。これが1日中、延々と続くのである。朝から夕方までみっちり、である。会議嫌いの私にとっては、地獄のような時間であった。
会議が長くなる理由の一つは、「喋る」ことだ。当然だが、喋るから長くなる。だから会議を短くするコツは、喋らないことである。なのに、意味のないことを喋る輩が多くの会議にいる。
次の会話文を読んでほしい。
所長:「上半期の名古屋営業所の業績について、これからご報告させていただきます。お手元の資料にありますのが名古屋事務所の資料でございますが、いつもお伝えしています通り、私はこのような資料を作るのが苦手でございまして、少し見づらいところがあろうかと思いますが、ぜひそこはご容赦いただきたいと存じます」
本部長:「それにしても、もう少し見やすい資料を作ってくれんかね。君んとこの課長で、うまく作るのいたじゃないか。誰だっけ、あの、なんと言ったっけ……」
企画部部長:「高橋課長のことですか」
本部長:「高橋じゃないよ。あの高橋はもっと不器用だ」
相談役:「高橋って、今は本社の総務だろう」
本部長:「相談役、経理部の山田部長の下ですよ」
相談役:「ああ、山田の部下か、そうだったそうだった」
……
所長:「申し訳ございません、私の不手際で時間をとってしまいまして。ところで……。あ!」
本部長:「なんだ、今度は」
所長:「大変申し訳ございません。この資料は5日前に更新したものでございまして、最新のデータとなっておりませんね。これはこれは、失礼いたしました。最新のデータに関しては、口頭で報告したいと存じます。それでは、あらためまして、上半期の名古屋事務所の業績に関してご報告いたします」
と、このように長々と書いたが、決して大げさに書いたわけではない。5時間、6時間の長丁場なのだから、ひょんなことから気が緩んで無駄話の歯止めがきかなくなる。とりわけ、役職上位の者が話を脱線させたら、なまじ立場が上だから誰も止められない。
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