最後になりますが、今、人類社会は最も重要な時を迎えています。今回の感染症を決して甘く見てはいけません。これは第二次世界大戦に匹敵するような、人類社会の歩みをひっくり返す力があります。
金融の視点から見れば、米国が世界各国、特にウォール街の株式市場に大量の現金を送り込み、各国がそれに倣う、その後の結末がどうなるか考えているでしょうか。その影響の大きさは、多くの人が今討論している技術の問題とは比べ物になりません。
私たちは世界中の多くの組織・機関の存在意義を簡単に否定せず、共にその価値を考え直すべきです。国連、WTO、WHO、これらの組織には確かに多くの問題がありますが、組織を解体して問題が解決するわけではありません。とはいえ、これらの組織が未来思考でどう改革を進めるか、改めて考えなければなりません。
新たな金融システムの未来の方向は、望もうが望むまいが、必ず考える時が来ます。私たちがやらなくても、誰かがやるでしょう。改革は犠牲を伴うもの、対価を払うものですが、我々の世代がこのように改革を行えば、次の世代の人々は、我々が先輩として責任を果たしたと見てくれると信じています。これは歴史的な機会であり、歴史的な責任です。
過去16年、アント・グループは一貫してエコ、サスティナブル、金融包摂と向き合ってきました。これらのポリシーに沿った金融を否定するなら、再び過ちは繰り返され、取り返しがつかない事態になるでしょう。ご静聴ありがとうございました。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。 最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」 (小学館新書)。twitter:sanadi37 。
ジャック・マー氏“失踪”直前のスピーチ全文(前編)
2カ月余り公の場に姿を現さず、その消息がさまざまな憶測を呼んでいるアリババのジャック・マー(馬雲)前会長。2020年10月24日に氏が行ったスピーチが、中国の金融当局を批判し、習近平国家主席らの怒りを買ったとの説もあるが、実際の発言と大きくずれた報道も増えている。そこで、筆者訳のスピーチ全文を全2回に分けて紹介したい。
「6年前のM&A」でアリババに罰金、企業分割もちらつかせる中国当局の真意
アリババなど中国大手IT企業3社が12月14日、独占禁止法違反で50万元(約800元)の罰金を課せられた。いずれも過去のM&Aを当局へ申請しなかった点が問題視されている。世界ではGAFAへの規制が強まっているが、中国をデジタル大国に押し上げた立役者であるメガIT企業に対しても、同様に当局の姿勢が締め付けへと変化している。
上場延期で衝撃、中国・アントを知る5つのキーワード
史上最大のIPOと注目されていた中国アリババの金融子会社アント・グループの上場延期が11月3日に発表された。ジャック・マー氏ら幹部3人が前日に金融当局の指導を受け、上場計画の見直しを迫られたことが理由だ。本稿ではアントの歴史や事業構造、今後の見通しなどを5つのキーワードからひも解いていく。
「孫正義氏はアリババへの投資で運を使い切った」中国メディアが分析するソフトバンク低迷の要因
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が6月25日、中国EC最大手のアリババの取締役退任を表明した。5月にはアリババ創業者のジャック・マー氏が、SBGの取締役を退くと発表。一方SBGは、2020年3月期の連結決算で過去最大の最終赤字を計上しており、中国メディアでは「孫氏はアリババへの投資で運を使い果たした」という辛辣な分析も出ている。
楽天の国内年間流通額の2倍、「独身の日」を支えるアリババの最新技術
中国最大のECセール「独身の日」で、アリババのECサイトは今年4982億元(約7兆7200億円)の取引額を記録。楽天の国内年間取引額の2倍に相当する注文・決済・配送需要が2〜3週間に集中する同セールを乗り越えるために、さまざまな技術がアップデートされてきた。ここでは、2020年のセールを支えた最新技術を紹介する。
アリババ「独身の日」セール、2020年は期間4倍 〜「ニューノーマル」で構造見直し
世界最大のECセール「独身の日」が中国で始まった。売上高を更新し続ける同セールだが、インタネットやEC人口は頭打ちで、構造改革を迫られていた。ここでは、セールの歴史をおさらいしつつ、コロナ禍の「ニューノーマル」が、構造の見直しに好機となっている今年の動きを紹介したい。
6億人が旅行の中国「国慶節連休」、それでも売れる「巣籠もり家電」
中国で「国慶節」の8連休が10月1日に始まった。昨年の同連休では、旅行者数がのべ7億8200人、国内観光収入が6497億1000万元(約10兆円)だったが、コロナ後初となる今回の大型連休で、旅行と消費の動向が注目される。また家電セールも好調だ。
バイトダンスとオラクルの説明にズレ〜 TikTokは米中どちらの企業なのか
中国バイトダンスのショート動画アプリ「TikTok」と、米オラクル、米ウォルマートとの技術提携案が今月19日、トランプ大統領の「原則承認」を受けた。しかし、バイトダンス、米企業2社の発表文のニュアンスにずれが生じており、TikTok新会社の立ち位置を巡り、憶測や波乱の芽を生んでいる。
米国のWeChat禁止令で「ファーウェイが伸びアップルが失墜」の可能性
トランプ米大統領が8月6日、「TikTok」のバイトダンス、「WeChat(微信)」のテンセントとの取引を、9月下旬から禁止する大統領令に署名した。TikTokは想定内だが、サプライズなのがテンセントだ。WeChatがアプリストアから削除されれば、iPhoneの出荷台数は25%以上減少するとみるアナリストもいる。
アリババとシャオミの寵愛受けた「小鵬汽車」が描く“呂布”テスラを倒す道
コロナ禍を機に活気づく中国のEV業界。米市場へ上場した中国EVメーカーには、2018年上場の蔚来汽車(NIO)、20年7月30日上場の理想汽車、そして8月27日に米ニューヨーク証券取引所へ上場した小鵬汽車がある。小鵬汽車の何小鵬CEOは6月、三国志の呂布にテスラのイーロン・マスクCEOを、そして呂布と戦う3人に米上場3社のCEOを例えた投稿を行った。ここでは同氏の投稿の意図を紐解いていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.