採用活動におけるVRの有用性を調査 「会社への興味」が上昇

» 2021年01月26日 19時07分 公開
[ITmedia]

 VRプロダクトの開発などを手掛けるSynamon(東京都品川区)は、情報システム開発事業を営むジィ・シィ企画(千葉県佐倉市)と合同で、採用活動におけるVRの有用性に関する調査を実施した。

 北海道大学の学生25人を対象に、Web会議システム「Zoom」を使った場合と、Synamonの開発するVRコラボレーションサービス「NEUTRANS BIZ」を使った場合とで、会社への理解度や興味関心の度合い、グループワークでの発言などに違いが表れるかを調べた。

phot 採用活動にVRは有用か?(写真提供:ゲッティイメージズ)

 会社説明会をWeb(Zoom)とVR(NEUTRANS BIZ)で実施したところ、理解度に関しては64%以上の学生が、「Webの方がよく理解できた」もしくは 「Webの方が理解できた」と回答した。一方、会社への興味度については、「VRの方がとても深まった」「VRの方が深まった」との回答が56%を占めた。

phot 以下、画像はリリースより

 その理由には「体験にインパクトがあり印象に残りやすかった」「疑似的に会社訪問ができるなど会社の雰囲気をつかみやすいと感じた」といった声があった。没入感のあるVRで体験を共有することにより、会社への興味が喚起されたことがうかがえる。

 同様に、WebとVRでグループディスカッションを実施したところ、ツールへの慣れや通信環境などの背景から、76%が「Webの方がやりやすかった」と回答した。一方、リラックス度やアイデアの発散性(アイデアの出しやすさ)はVR優位の傾向が出た。

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 リラックス度合いを測る質問では、「対面で話している感覚がある」「同じ場所に集まっているように感じた」「アバターなので自分の表情を意識しなくてもよいし、周りの視線も気にならない」といった意見が挙がった。一方で、「周りの人の反応を表情から伺えないためファシリテーションがしづらい」という声もあったという。

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 アイデアの出しやすさに関しても、50%以上が「VRの方がアイデアを出しやすい」と回答している。学生からは「アバターのコミュニケーションの気軽さから普段言わないアイデアも気軽に発言できた」「VR空間に居ることで普段考えないようなアイデアが出た」といった意見が挙がり、VR空間やアバターによる非日常性がアイデア発散に好影響を及ぼすことが分かった。

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 今回の調査結果に対し、Synamonは「VR機材に関しては、調査実施時点(2020年8月)では装着時の重さや動作の安定性といった側面からも、ハードウェアレベルでの改善が必要だったといえる」と振り返った。

 一方でVRデバイスは著しいスピードで進化していて、将来的にはハードウェアにおける不満も解消していくことが予想される。目的に合わせオフライン、Web会議ツール、VRを使い分けることができれば、新しい時代に即したよりよい採用活動を組み立てられる。

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