専業化によって自社の強みをとことん追求することで企業価値を高めていくのか、それとも、戦略的複合化を通じてシナジーによる新たな価値の創造と事業全体の安定性を求めていくのか。これまでは、世界的に前者の考え方が主流であったが、これには狩猟民族的な発想と決断(徹底的な集中と選択)が必要であり、ソフトバンクGや日本電産といった一部のオーナー経営企業を除き、農耕稲作文化のしみ込んだ日本の企業文化に果たしてなじむかどうかは疑問である。
更には、新型コロナが収束しても先の見通しも不透明な不確実性の高い経済環境が続いていくこれからの時代を生き抜いていくためには、日立やソニーが目指す戦略的複合企業体という選択肢も有効ではないだろうか。ただし、企業価値が市場で適正に評価されるためには、傘下事業のそれぞれのグループ内での位置付けと関連性、そして財務面を含めた十分な情報開示が鍵となる。
斎藤 忠久
グロービス経営大学院教員(ファイナンス理論)。株式会社富士銀行(現在の株式会社みずほフィナンシャルグループ)を経て、株式会社富士ナショナルシティ・コンサルティング(現在のみずほ総合研究所株式会社)に出向、マーケティングおよび戦略コンサルティングに従事。その後、ナカミチ株式会社にて経営企画、海外営業、営業業務、経理・財務等々の幅広い業務分野を担当、取締役経理部長兼経営企画室長を経て米国持ち株子会社にて副社長兼CFOを歴任。その後、米国通信系のベンチャー企業であるパケットビデオ社で国際財務担当上級副社長として日本法人の設立・立上、日本法人の代表取締役社長を務めた後、エンターテインメント系コンテンツのベンチャー企業である株式会社アットマークの専務取締役、株式会社エムティーアイ(東証1部上場)取締役兼執行役員専務(CFO)を経て、現在グロービス経営大学院教授(ファイナンス理論)。写真はグロービス経営大学院提供
富士通「年収3500万円」の衝撃 ソニー、NECも戦々恐々の「グローバル採用競争」
NEC「新卒年収1000万円」の衝撃 年功序列の廃止か、「3流国への没落」か
コロナ禍で志願者は月3000人 応募殺到のアイリスオーヤマ中途採用担当に聞く「こんな人材は採ってはいけない」
快進撃続けるアイリスオーヤマの「おじさん技術者」たち 元「東芝」技術者のもと“テレビ”でも旋風を起こせるか
東芝の“絶対に破られない”「量子暗号通信」開発責任者を直撃 市場の4分の1を取ってリーディングカンパニーへ
販売台数は前年比3倍! シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」開発者に聞く――共働き家庭の必需品に
ホリエモンが政治家に頭を下げてまで「子宮頸がんワクチン」を推進する理由
DMM亀山会長がベンチャーブームに物申す「プレゼンがうまいだけの起業家が増えている」
DMM亀山会長大いに語る――便利さゆえに逃げられぬ「5Gの世界」
パッと見ただけで年収が分かる時代が来る?――DMM亀山会長らが見通す未来
「平成の名経営書」は? ビジネススクール教員が選ぶ「決定版5冊」
DMM亀山会長らが語り合う「10年後のパラダイムシフト」――世界の“インフラ勢力図”はどう変わるのか?
僕の足を引っ張らない社会を作る――ホリエモンが演劇をアップデートする理由©GLOBIS All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング