スマホ捨て自給自足、ファーウェイの「抗日戦争」を読み解くキーワード<ファーウェイの現在地・下>浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/7 ページ)

» 2021年04月08日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

米企業に頼らない「南泥湾プロジェクト」

 ファーウェイは18年12月の孟晩舟副会長兼CFOの逮捕、そして19年5月の最初の規制発動に直面し、自社製品の安全性を世界に訴えた。表舞台を嫌い、「謎の創業者」とされていた任正非総裁も精力的にメディアに露出した。

 だが孟副会長の拘束や規制が長期化し、ファーウェイは戦術を変えた。「ファーウェイを政治の切り札にしている」と米政府を批判し、19年8月には米国のサプライチェーンを離れても自活できる体制を目指す「南泥湾プロジェクト」をローンチした。

 「南泥湾」とは1940年代前半の抗日戦争中に、経済的苦境に立たされた中国共産党が陝西省延安市の荒地だった南泥湾を開墾し、手工業、工業、商業を育成して前線の戦いを支える基地を建設した史実に由来する。

 任総裁は今年2月、同プロジェクトに初めて言及し、「南泥湾とは自給自足によって自力救済することで、石炭、鉄鋼、音楽、スマートスクリーン、PC、タブレットなどの領域を開拓することも計画の一環」と言明した。

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