それぞれの施策を通して、水谷氏は日本の市場は独特だと捉えている。
先述の通り、日本では英語を苦手と感じる人が全人口の約70%を占めている。多くの人が中学校と高校で6年間は学んでいるにもかかわらず、「自分は英語初心者だ」と感じている。
「アルファベットが読める、あいさつができる、文法の基礎を知っているという状態は、ほかの国では“中級者”。でも、日本人は“初心者”と思っています。謙虚な精神を持つ独特な日本市場に受け入れられる形に、アプリをローカライズするなど、工夫しなければならないことも多かったです」と水谷氏は振り返る。
気になるマネタイズだが、アプリ内広告表示と有料版の提供で収益を得ている。しかし、広告表示版、つまり無料版と有料版で、学習コンテンツの差はないという。というのもDuolingoでは「“誰でも”使える世界最高の教育アプリ」を目指しており、経済格差による学習格差を解消し、それにより生まれる分断をも解消したいというミッションがあるからだ。無料版と有料版の差は、広告が表示されるかどうか、誤答時にハート(RPGにおけるライフのようなもの)が減るか無制限になるか、が主なものだ。
水谷氏は「Duolingoを、限られた人たちからだけでなく、みんなから愛されるブランドに育てていきたい」と話す。
「今は、スマホのカメラをかざすだけでも翻訳ができる時代です。でも、コミュニケーションは翻訳だけがキモではありません。文のつなげ方、適切な言葉選びのできる社会言語能力、異文化への理解が関係しています。日本語話者向けのDuolingoは、これから英語、韓国語以外にもいろいろな言語展開をしていく予定ですが、それが他国の文化を学ぶことにつながっていけばいいな、と考えています」(水谷氏)
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