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急成長のサンコーが、「オモシロ家電」を追求する意味とは家電メーカー進化論(4/6 ページ)

» 2021年06月10日 07時00分 公開
[倉本春ITmedia]

――他にない面白くて便利な製品を「毎月10個」となると、どうやってアイデアを枯渇させずに出し続けているのでしょうか。

 当社では、サポートスタッフから経理まで全員に、週に1アイテム以上の案を出すようにお願いし、それを専用掲示板に集めて企画のヒントにしています。掲示板上で「こういうことに困っている人がいる」「それなら海外ではすでにこんな製品があるよ」「こんな切り口なら解決できるのでは?」といった議論をすることで、新製品のアイディアが育つこともあります。

 スタッフはひとりひとりが消費者でもあるので、消費者が困っていることに常にアンテナを立ててもらいたいと思っていますね。

――つまり、サンコーにはマーケティング専門部門はないのですか。

 ありません。企画製品の開発スタッフも、既存製品の調達スタッフも自分たちで市場調査をしています。フィールドは主にGoogleのようですが(笑)。また家電量販店をチェックすることも多いですね。量販店に行って、「売っていないもの」を探します。

――量販店で、いわゆる流行の製品を探すのではなく、売っていないものを探すのですか。

 すでに売っているヒット商品をフォローしても、売り上げを大きく伸ばすのは難しいんです。すでにマーケットが出来上がっていますからね。それよりは、今までにないものを生み出して自分たちでマーケットを作った方が、大きな勝負ができると思っています。

 だから家電なら、家電量販店に売っていないものを探す。「自分はここを困っているんだけど、それを解決してくれる家電はないのか?」という視点で量販店を見るようにしています。例えば、寝たままパソコンが操作できる当社製品「仰向けゴロ寝デスク」などは、それまでどこにもなかった製品ですよね。あれも自分が腰痛持ちだという理由で新しく開発した製品なんですが、今までにないものだったのでサクサク売れた。だから、家電も同じように「今までにないもの」で勝負しています。

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