アクア新CMのワケ、三洋電機とハイアールの融合が生み出す新潮流:家電メーカー進化論(5/6 ページ)
――ハイアール傘下に入ったメリットとして感じていることはありますか。
海外とつながっているからこそできた開発がいろいろとあります。例えば、中国市場向けの両開き型の冷蔵庫は以前から販売していましたが、グローバル仕様のため野菜室がメイン冷蔵室にあったり、冷凍室が上下2段式の仕切りで大きかったりと、日本の冷蔵庫とはかなり仕様が異なっていました。しかし、その冷蔵庫の評価は日本でも意外に高かったのです。
そこで、グローバル仕様と同じような構造にしつつも、本体や庫内のサイズは日本の家屋や日本人の使いやすさに合うように設計したのが、19年に発売したTZシリーズという冷蔵庫です。TZシリーズは大容量薄型冷蔵庫として、そのカテゴリーでは先駆者です。他社も出していない未開の市場に新しい風を吹き込んだ新たなコンセプトを持つ商品として、多くのメディアに取り上げられ、一時はSNSで「デザイン冷蔵庫」といえばTZシリーズばかりが出てくるなど、かなり存在感のある商品になりました。
有名プロダクトデザイナー深澤直人氏によりデザインされた両開きタイプの冷蔵庫「TZシリーズ」
ハイアールグループが年に数回開催するグローバル会議では、当社も含めた海外市場担当者が全世界から中国本社に集まり、傘下の企業同士のコミュニケーションも密に取ることができるのも、ハイアールならではかもしれません。実は、20年にアクアで発売したコードレススティッククリーナー「AQC-HF500」は、同じくハイアール傘下にあるイタリアのキャンディとの共同開発商品です。グローバル市場の資産を、グループ内連携で活用することもできるわけです。
日本ではあまり見掛けない、爽やかなシャイニーライムグリーンのカラーはイタリアのデザインならでは
私の仕事は、アクアの良質な商品を日本国内でより多く販売することですが、一方でハイアールグループのなかで日本の存在感をアピールすることも重要だと考えています。
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