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アクア新CMのワケ、三洋電機とハイアールの融合が生み出す新潮流家電メーカー進化論(2/6 ページ)

» 2021年06月30日 07時00分 公開
[倉本春ITmedia]

CM展開で目指すブレイクスルー

――アクアといえば、家電好きには「旧三洋電機」という印象が強い会社です。まずは簡単にアクアの成り立ちを教えてください。

 三洋電機グループが2009年にパナソニックに買収された後、12年にパナソニックが旧三洋電機の冷蔵庫事業と洗濯機事業を(中国の)ハイアールへ譲渡しました。その後ハイアールは、日本においてコストパフォーマンスの高いハイアール製の製品を販売するかたわら、三洋電機の流れをくんだ製品を「AQUA(アクア)」ブランドとして差別化して販売していました。

 現在は、AQUAブランド製品をアクア株式会社、ハイアールブランド製品をハイアールセールスジャパン株式会社が主に取り扱っています。ちなみに、アクアという名前は、三洋電機時代に開発した洗濯機のブランド名「AQUA」に由来しています。

 ちなみにハイアールグループは12年連続で、大型家電の販売シェア世界1の実績を持っています。

――冷蔵庫や洗濯機という高額大型家電を扱うアクアですが、テレビCMなどの派手な広告宣伝は、これまでしてこなかった印象があります。

 実は、12年に小泉今日子さんを起用してアクアのCM展開をしたことがあります。これは「AQUAというブランドが新たに誕生しました」という意味でのブランドCMでした。その後は、確かにタレントを起用した大々的なCMはしていません。

 今回、CMでのブランド展開をスタートした理由は2つあります。1つはアクアを代表するような製品が揃ってきたことです。もう1つの理由はブランドとしてブレイクスルーの時期に突入したということです。長い間CMはしていませんでしたが、アクアのビジネスは比較的順調に推移してきています。コマーシャルに投資をしなくても良い製品はちゃんと売れるということです。

 ですが、その手法での成長には上限があると考えており、この限界を突破するのにはCMによる認知度と好感度のアップが必要だと考えました。

 家電量販店に行くとアクアの製品が陳列されていますが、今は「アクアって何?」「このアクアってブランドよく見るけど?」という声が多い。その声を「あのアクアね」「アクアなら安心」と言われるようにしたい。

 当社の家電は、機能面でもスペックでも自信があります、それを「アクア」というブランド名だけで感じてもらうことが目標です。

 また、有名タレントを起用したCMというのはそれなりに予算も必要です。アクアがCM展開ができる規模の会社であるとアピールすることで、商品やサービスへの安心感に加え、企業としての信頼感も持ってもらえるはずだとも考えています。

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