――アクアといえば、家電好きには「旧三洋電機」という印象が強い会社です。まずは簡単にアクアの成り立ちを教えてください。
三洋電機グループが2009年にパナソニックに買収された後、12年にパナソニックが旧三洋電機の冷蔵庫事業と洗濯機事業を(中国の)ハイアールへ譲渡しました。その後ハイアールは、日本においてコストパフォーマンスの高いハイアール製の製品を販売するかたわら、三洋電機の流れをくんだ製品を「AQUA(アクア)」ブランドとして差別化して販売していました。
現在は、AQUAブランド製品をアクア株式会社、ハイアールブランド製品をハイアールセールスジャパン株式会社が主に取り扱っています。ちなみに、アクアという名前は、三洋電機時代に開発した洗濯機のブランド名「AQUA」に由来しています。
ちなみにハイアールグループは12年連続で、大型家電の販売シェア世界1の実績を持っています。
――冷蔵庫や洗濯機という高額大型家電を扱うアクアですが、テレビCMなどの派手な広告宣伝は、これまでしてこなかった印象があります。
実は、12年に小泉今日子さんを起用してアクアのCM展開をしたことがあります。これは「AQUAというブランドが新たに誕生しました」という意味でのブランドCMでした。その後は、確かにタレントを起用した大々的なCMはしていません。
今回、CMでのブランド展開をスタートした理由は2つあります。1つはアクアを代表するような製品が揃ってきたことです。もう1つの理由はブランドとしてブレイクスルーの時期に突入したということです。長い間CMはしていませんでしたが、アクアのビジネスは比較的順調に推移してきています。コマーシャルに投資をしなくても良い製品はちゃんと売れるということです。
ですが、その手法での成長には上限があると考えており、この限界を突破するのにはCMによる認知度と好感度のアップが必要だと考えました。
家電量販店に行くとアクアの製品が陳列されていますが、今は「アクアって何?」「このアクアってブランドよく見るけど?」という声が多い。その声を「あのアクアね」「アクアなら安心」と言われるようにしたい。
当社の家電は、機能面でもスペックでも自信があります、それを「アクア」というブランド名だけで感じてもらうことが目標です。
また、有名タレントを起用したCMというのはそれなりに予算も必要です。アクアがCM展開ができる規模の会社であるとアピールすることで、商品やサービスへの安心感に加え、企業としての信頼感も持ってもらえるはずだとも考えています。
急成長のサンコーが、「オモシロ家電」を追求する意味とは
パナソニックの“スピード開発”を後押し、Shiftall 岩佐CEOに聞く(後編)
パナソニック“次の100年”のキーパーソン、Shiftall 岩佐CEOに聞く(前編)
スピード経営で知られるアイリスオーヤマ、問題発生のたびに躍進できたワケ
快進撃を続けるアイリスオーヤマ、家電開発部長に聞く「なるほど家電」の作り方
日本進出7年で売上200億突破のアンカー・ジャパン、“成功の裏側”と多ブランド戦略の意図
AV機器メーカーが電気圧力鍋を開発、大ヒットの秘密は「なんでもできる」の廃止
トルコ家電メーカーとの合弁へ海外家電事業を移管、日立GLSは何を目指すのか
家族型ロボットへ出資した、日立GLSの目指す未来
「100億円プレーヤーはもう飽きた」変わり続けるバルミューダの野望
なぜ次々と新ジャンル? バルミューダが社長一本槍から脱却目指すワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング