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アイリスオーヤマ大山晃弘社長を直撃 売上高1兆円の目標にはこだわらず安定成長へ22年の展望(2/5 ページ)

» 2022年01月07日 11時57分 公開
[中西享ITmedia]

「打倒アマゾン」とは思っていない

――この数年は家電が売り上げをけん引してきました。今の売り上げに占める家電の比率はどれくらいで、今後伸ばしたい分野はどこでしょうか。

 家電の比率は約6割です。法人部門を増やす方針ですが、家具や寝具を販売するホームファッション事業がネットで伸びているので、ネット通販をさらに伸ばしたいと思います。

充電式サイクロンスティッククリーナー

――ネット通販ではアマゾン、楽天といった強敵がいますが、どのように対抗しますか。

 あまり対抗するという意識は持っていません。通販では協業しているような部分もあるので、「打倒アマゾン」などとは思っていません。アマゾンは男性、楽天は女性、アイリスはロイヤルカスタマーが強いように、それぞれのブランドに強い顧客がいるので、その特徴を生かした形で提案していきたいと考えています。

――アイリスの人事評価は上司や部下を含めた360度評価をしていますが、降格させられることもあるのでしょうか。

 人事評価は上司や部下の複合的な評価で決まります。下位10%の人に対しては警告、いわゆるイエローカードが出されます。このカードは業績が悪くて出しているのではなく、本人に気付きを与えるもので、コーチングをして頑張りなさいと励まします。このカードを3年のうちで2回受けると降格(レッドカード)になります。

 レッドカードは毎年数名くらい出ますが、そんなに多くはないです。中には自分の能力以上の役職について荷が重いと感じる人もいまして、そういう人は降格になって気が楽になるというケースもあります。レッドカードをもらった人の多くは再チャレンジし、奮起して2〜3年で元の等級に戻る人が多いです。

――今後の新製品としては、ポストコロナ、リモートワーク拡大を見据えた、ソリューションになる製品を提供するとしていますが、法人営業を強化する方針でしょうか。

 法人の売上比率は少なくて、まだ伸びしろがあるので営業マンも増やし、法人向け商品も増やしていきます。当社のプラットフォームを生かしたサービスロボットからスタートしたいと考えています。

 お掃除ロボット、配膳ロボットなどを飲食の現場に提供していますが、ロボットの販売に手応えを感じています。配膳ロボットは完全無人化ではなく、店員の後ろについて回って店員の仕事を手伝うものですが、飲食業では人手不足が深刻なので役に立っています。

 掃除ロボットは、コロナ禍でウイルスの6〜7割が床に落ちているので、これを掃除すると部屋全体のウイルス量を減らすことができます。衛生意識の高い業種の企業、不特定多数の人が入るような業種で導入が検討されています。

 ダイエーさまにはこの清掃ロボットを約80台一括導入していただき、全国の宿泊施設でも活躍しています。

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