――将来の自動運転に対応した自動車保険の負担の在り方が検討されています。自動運転車が事故をした場合、誰がどう負担するのか、現在の検討状況を教えてください。
「レベル3」とか高速道路上とかやりやすいところから始まっていきますが、自動運転が本格的に実現するのは、まだ先になると思います。
例えば、真直ぐ進むと人をひいてしまいそうな時、よけた先にも、また人がいるなど、究極の場面でどちらかを選択するプログラミングを組まなければなりません。
また、自動運転では人が飛び出した場合、車は止まります。そうすると歩行者がどんどん車の前に出て行くようになって、車が動けなくなるなど、極端な事象も考えられます。
このような倫理的な問題や運用上の交通トラブルも一緒に解決していくことも求められます。
――事故の責任は誰にあるかということで自動車保険は動きますね。
自賠責保険で事故の責任は運行供用者、車を持っている人、運転している人に責任があるという基本的な考え方は、「レベル3」までは踏襲されることは確認されています。
ただ、本当に自動運転で事故になった際に、運行供用者の責任なのか。プログラムでミスしたのか、あるいはプログラムの更新がまずかった場合はメンテ業者の責任になるのか。ハッキングされた場合どうするのかなどの課題が出てきます。ここは法律で責任の主体を明らかにしていかないと簡単には解決できない問題です。
今のところは運行供用者責任で進んでいきますが、机上では考えられないような事例が積みあがってきて、新たな責任の在り方などを検討しなければならないことも起きると思います。いずれにしても、普及状況やニーズを踏まえながら、お客さまにより納得感のある制度や商品の検討を進めていきます。
――MS&ADホールディングスは、三井、住友、日本生命、トヨタなど多様な企業グループにまたがっています。今後、事業を展開する上で有利になると思えますが。
いろいろな企業グループと緊密な関係があるのはわれわれの強みです。日本を代表する企業群で、それぞれの業種のトップ企業もあることで、多くの情報が入ってきます。
トヨタとの関係は、MS&ADグループの中のあいおいニッセイ同和の前身である千代田火災の主要株主がトヨタだったことから脈々と受け継がれてきています。トヨタはコネクテッドカーを進めていますし、車の走行データを見て使えるのは自動車保険、事故防止には有利だと考えています。
――今後の海外での展開は、どんな計画を立てていますか。
アジアに強く、特にアセアン(東南アジア諸国連合)では現地の保険会社を含めてもナンバーワンのシェアを持っています。経済成長が期待できるので、これを取り込んでいきたいと思っています。
欧州では英ロイズ保険市場上位のシンジケート、アムリンを2016年に買収して傘下に持っているので、これを生かしていきたいと思います。北米では大きな事業展開にはなっていませんが、損害保険市場の40%は北米です。今後は事業を拡大していきたいと考えています。
富士通・時田隆仁社長に聞く「年収3500万円」の運用状況 みずほシステム障害への対応は?
富士通「年収3500万円」の衝撃 ソニー、NECも戦々恐々の「グローバル採用競争」
NEC森田社長に聞く「新卒年収1000万円施策」の効果 魅力的な職場を作ることこそマネジャーの仕事
上場企業の「想定時給」ランキング、3位三井物産、2位三菱商事 8000円超えで「ぶっちぎり1位」になったのは?
「年商1億円企業の社長」の給料はどれくらい?
大学の“教育力”ランキング 3位東大、2位東工大 1位は?
首都圏大学ブランド・イメージランキング トップ3は?
社長の出身大学、日本大学が10連覇 増収増益率1位は?
「この企業に勤める人と結婚したい」ランキング トヨタ自動車、任天堂をおさえての1位は?
NEC森田社長に聞くDXを推進する「3つのキーワード」 指針は「長期利益の最大化、短期利益の最適化」
NEC「新卒年収1000万円」の衝撃 年功序列の廃止か、「3流国への没落」か
ワークマン土屋哲雄専務が、社員の平均年収を700万円に上げた理由
DXで飛躍する出光興産・木藤俊一社長を直撃 「昭和シェルとの経営統合」の効果は?
「これさぁ、悪いんだけど、捨ててくれる?」――『ジャンプ』伝説の編集長が、数億円を費やした『ドラゴンボールのゲーム事業』を容赦なく“ボツ”にした真相
ヤマト運輸が舵を切るデータ・ドリブン経営 “DX請負人”の中林紀彦執行役員を直撃
上場企業の平均給与ランキング 三菱商事や伊藤忠を抑えて1位になったのは?
住友商事・南部智一副社長に聞く「DXによる再生の道筋」 社内の構造改革を強力に推進
大学の“教育力”ランキング 3位東大、2位東工大 1位は?
首都圏大学ブランド・イメージランキング トップ3は?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング