大企業であれ中小企業であれ、組織の活力の源は最終的に「ヒト」にある。ロコ・ソラーレの設立に際し、どういった観点でメンバー、つまりヒトを集めたのか。
「吉田夕梨花が15歳、鈴木夕湖が18歳ぐらいの時で、ちょうどチームの入れ替え時でした。地元でタブーなことは、すでにあるチームから人を引き抜くことです。それはしないという約束でもありましたが、タイミングが良かったのか2人は加入してくれました。
吉田知那美と藤澤五月の2人は(思うような成果を上げられず)強烈に悔しい思いをした後だったので、負の気持ちではなく楽しい気持ちでカーリングをしてもらいたかったんです。だから『気分を変えてこっちでやってみない?』と声をかけました。あのままいったらカーリングを嫌いになってしまうと思ったので『カーリングを好きでいてほしい』とは伝えました」
チームの強化だけではなく、カーリングへの愛をポイントとしたようだ。こう見ると結成のタイミングは非常に重要だといえそうだ。
「そのタイミングは勘ですね。そこはうまく嗅ぎ分けています。でも、私自身のためというより、この若い選手はこういう感じでいったら伸びるんじゃないかなという要素をベースにしています。先ほどの恩師の話でいえば、『自己利益は考えてはいけない』と教わりました」
コロナ禍で「利他の精神」が叫ばれていたが、本橋はそれをチーム創立当初から実践していたことになる。こうして本橋の話を聞くと、チームのトップとして人を見る、部下を観察することが仕事なのだと感じた。水を向けてみると「それが趣味かもです」と笑う。
「スポーツでも、世の中でも、何か目標を掲げて進むときに直面する一番の課題は、自分の弱さと向き合うことです。私もそんな経験を2、3回しましたが、それを超えた先にまた面白い世界があると知ったので、そういう人材を増やしたい思いもありました」
トップとして大事にしているポリシーについて聞いてみると「その人を知ることです。自分が相手に興味を持つことです。聞けば聞くほど信じられるものが増えますし、それが多いか少ないかでチームが変わってくると思うので、そこは大事にしています」と、相手を理解した上で、その人に合わせたマネジメントをすることが重要だと教えてくれた。
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