東谷さん当選とともに、得票率も2%を超え、政党要件を満たした。これにより、N党は政党交付金の支給対象となった。従来の政党の場合、支援団体などからの寄付も活動資金になるものの、「しがらみの発生を防ぐ」としてN党は献金を全て拒否している。このため、交付金は重要な活動資金であるとともに、企業で言えば売り上げに相当する。
立花党首は今回の参院選の成果について「日本にいなくても、YouTubeだけで当選することが証明された」と総括。将来的な堀江さんやヒカルさんの擁立を視野に「今後の衆院選に向けてインフルエンサーが当選しやすい環境になった。優秀な人を政界に送り出すことで従来の選挙スタイルや政治の世界を変えていきたい。そのほうが有権者も面白いだろう」としている。
エイベックスの松浦勝人会長は自身の公式YouTubeチャンネルの動画で東谷さんの当選について「時代が変わる時は、変わるために出てきた人が異端者に見えるのではないか。今まで通りのやり方では若者には響かない。少し考えさせられた」とコメントした。
参院選では、党存亡の危機に瀕していた社民党が1議席(得票率2.4%)を“死守”した一方で、N党同様にネット上での選挙戦を展開した「参政党」が1議席(得票率3.3%)を獲得。日本社会党時代を含めると70年以上の歴史があり、与党経験もある政党と、新興政党が肩を並べる時代になった。
ただ、N党が今回採用した手法は一種の「炎上マーケティング」に該当するともいえる。一般的に炎上手法は局地的な短期決戦では即効性が高い一方、中長期的に見た場合は悪手ともされている。N党の場合、議席と得票率の要件を満たさなければ、当面の活動資金が得られないため、採用に踏み切ったものの、永続的な営利活動が求められる企業が採用する場合は、メリット・デメリットを精査した上で扱う必要がある。
とはいえ、選挙にビジネスの視点を盛り込み、緻密な選挙戦略を実行した上で、N党が議席を確保したことは紛れもない事実だ。今後の6年間の任期でN党がどのような役割を果たし、戦略を実行していくか注目が集まりそうだ。
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