──なぜ家庭用ゲーム機は、高いのに売れるのか。
任天堂とSIEの実績に尽きるでしょう。両社のコンテンツは充実しています。
家庭用ゲーム機は実際に手に取って遊ぶまで、自分が本当に楽しめるかわからない弱点がありますが、今では体験版もあります。またスマホゲームのように突然のサービス終了もない。ゲーム機が動く限りずっと遊べます。その安心感は大きいでしょう。
──でも私の身の回りには、ゲーム機を持つ人が減った気がします。
確かにスマホは誰もが持っていますし、そう感じるかもしれませんね。そして、経済状況も厳しい昨今、「スマホがあるからゲーム機はいらない」という声が一定数あるのは当然です。
一方、スマホは生活必需品なので、無理をしても買うなど、スマホの購入費を「コスト」と認識しませんよね? ゲーム機の機能がスマホに吸収された……という視点もあります。
繰り返しになりますが、家庭用ゲーム機でゲームソフトを熱心に遊ぶ人もいるのです。要するに現在のゲームは、スマートフォンゲームを中心に、PC、家庭用ゲーム機、アーケードゲームなど、いろいろなツールで遊べる「多様性」があるのです。
──なるほど。自分に合わせて選択できると。
そうです。そして“導線”の多さこそが、ゲームファンを増やし、ゲームビジネスの規模を拡大させたとも言えます。どの産業でも言えるのですが、不要になった分野は、需要が落ち込み市場が縮小して消滅します。「家庭用ゲーム機」も本当に不要になれば、市場規模が落ち込み、遊ぶ人が減るはずですが、そうなっていません。今後、スマホと家庭用ゲーム機がどうなるのか。動向に注目しましょう。
ゲーム、アニメ、マンガなどを主戦場にするフリーランスのサブカルライター。ヤフーオーサー、マンガ大賞選考員。メディア所属時には、決算会見や各発表会に参加し、独自記事なども執筆。20年以上ゲーム業界を中心に取材している。2020年5月、「ドラゴンクエスト」大ヒット連発なぜ? 30年前の伝説の熱狂」でヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞した。「文春オンライン」や「Number Web」(ともに文藝春秋社)などでも記事を執筆。静岡放送などでラジオに出演することも。
ヤフーニュース個人:「河村鳴紘のエンタメ考察記」
Twitter:@kawamurameikou
note:河村鳴紘
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