“マーケティングで成功した会社”といえば、みなさんはどの会社を思い浮かべるだろうか? アップル、コカ・コーラ、P&G、ロレアルなど、よく外資系企業が名前を挙げられる。
しかし、実は日本にもマーケティングで大きな成長を遂げた会社がたくさん存在する。
本連載では、マーケティングで成功をあげるための本質的な考え方・思考法を、外資マーケティングの最前線で戦ってきた小林幸平氏が、独自のマーケティングフレームで解説する。
京都大学大学院医学研究科卒業後、 日本ロレアル株式会社に入社。新規ヘアケア製品ノーシャンプーのプロダクトマネジャーとして新製品の開発および販売戦略立案を担当し、同製品は楽天市場総合ランキング1位を獲得。その後デジタル・イーコマースにおけるマーケティング責任者として事業拡大戦略の立案と推進に取り組んだのち、2019年8月よりメイベリンニューヨークのアジアヘッドクォーターにてリージョナルマーケティングマネジャーとしてビジネス統轄を担う。その後、2021年2月よりノバセル株式会社の執行役員として同社事業を牽引。
合同会社スモールミディアムCEOとして、D2Cブランドの経営も行う。
公式noteはコチラから。
マーケティング業界においては、日系企業出身と外資系企業出身を意識的に区別する、“暗黙のルール”のようなものがある。ただ、その違いやキャリアにおけるメリット・デメリットを正しく理解している人は少ない。
今回は、外資と日本の最前線のマーケティングの現場を見てきた筆者の目線で、外資系マーケターと日系マーケターの違いについて切り込む。
まず、一番分かりやすいところで、外資マーケターは給料が高いと言われるが、事実なのか。
私は外資系企業で最年少のアジア地域の統括として勤務していた経験もあり、日本を含めた世界各国の外資マーケターの給料事情には詳しい。
結論から言えば、これはYES。私の周りの外資マーケターは30〜40歳で年収2000万〜3000万円を稼ぐ人も珍しくない。もちろん、それだけの昇進・プロモーションをしていることが前提ではあるが、夢のある仕事だということは間違いない。
ただし、これは一握りの話にすぎず、新卒時点からあまり給料が上がらない人もいる。これは外資系企業独特の「Up or out」(昇進するか、もしくは辞めるか)と言われる仕組みがあるからだ。
一方、日系マーケターではどうだろうか?
ビズリーチなどでリサーチを実施したところ、資生堂などの日系大手企業ではここ数年、大きく給与水準を上げるトレンドがある。これは、外資系企業に負けない採用競争力を担保する狙いがある。
このように変動が激しいマーケティング業界において、外資に行くべきなのか、はたまた日系企業が良いのか――悩むマーケターも多いのではないだろうか。
この議題を深ぼると、マーケティング業界の歪(ゆがみ)ともいうべき、構造的な3つの事情が見えてくる。
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